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大波乱はなぜ起きたか?「申が騒いだ」1月相場を振り返って=山崎和邦

日経新聞の20氏アンケートは絶好のネガティヴ・インディケーターだった(曲がり屋に向かえ)

日経新聞が半世紀以上も前から続けている、新年相場を予想する企画がある。そこで、財界人たち20氏がほぼ全員一致して的中した年が、この50年間に3度あった。72年、89年、及び昨年2015年だった。

全員的中した翌年は、1月から大暴落だった、という歴史がある。私はこれを昨年からメルマガ「週報」で述べ続けた。

過去2度とも1月から大暴落だった。今年が3度目になった。歴史の必然だった。「50年間に2度のことで断定するな」と言うなかれ。

イェール大学卒で英国留学した秀才で株式投資で巨富を築いたジョン・テンプルトンという著名な投資家がカリブ海で優雅な晩年を過ごして数年前に死亡したが、彼の残した著名な名言の一つにこういう言葉がある。「四つの単語で出来たセンテンスで投資家に最も損を与えるセンテンスはこれだ。
“This Time is diffrent.”(今回はこれまでと違う)

評論家諸氏は「米国金利上げ、原油安、中国経済の減速」などを原因に挙げる。納得できる理由を探して来たにすぎない。意地悪な相場という生き物が、外的要因をあげつらう人をあざ笑うかのように、相場は自身の意思で動いたのだ。そして1月21日に来るべきところ(後述する)に来たので自分の意思で勝手に940円高と言う暴騰を演じたのだ。人はこれを「自律反騰」と呼ぶ。

日本市場の大発会は前場のうちに約500円安と、90年の発会を連想させる発会になった。これは何を意味するか、である。日米ともに大幅安を見ては、FRB議長イエレン女史も予定通りの出口戦略は難しいと思ったろう。

正月の20氏のアンケートは半世紀の慣習を変えて1月3日を元旦に変えた。これによれば今年2016年の安値は20人中の15人が18,000円と言う。ということは50分の47の確率で「当たらない」ということになる(筆者は50年間、毎年保存して20人の的否を見てきた)。

「安値18,000円は当たらない」となればその下は強いて言えば9月末の16,961円をW底とする、または、さらに下は強いて言えば15,701円の窓埋めである。2014年10月末の黒田バズーカ砲2の時の急騰の時の窓が15,701円から200円幅である。現に1月21日、夜間先物ではピッタリその値段をつけた。

筆者が20氏のアンケートで注目するのはサラリーマン社長でなくオーナー社長だが、今年は日本電産の永守さんしか出てない。サラリーマン社長は企画部とか調査部とかに意見を聞いて無難に答える人が多い。信越化学の金川さんには注目してきたが今年は「人並みな外れ予想」をしていた。

普通は「年内最高値は12月」と言うのが常識だが今年は年央が6人居た。7月選挙を意識してのことだろう。いずれにしても、この20氏のアンケートは50分の47の確率でネガティヴ・インディケーター(反対指標。昔から言う格言では「曲がり屋に向かえ」)になる。過去50年間で1972年と89年とは概ね全員が的中して翌年は1月から大波乱が起きたと既述した。加えて2015年も概ねが的中していたので今年は1月から大波乱かと既述した。

Next: NYダウと円ドル相場と「逆オイルショック」

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