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大波乱はなぜ起きたか?「申が騒いだ」1月相場を振り返って=山崎和邦

NYダウと円ドル相場と「逆オイルショック」

NYダウは5月の18,351ドルを以て丸型大天井(逆鍋底型大天井)を為したとメルマガでは昨年から述べてきた。

8月15,370ドルは16%安だから、120年間のNYダウ平均の歴史に23回しかなかった「20%安を以て基調の変化と見る」が実現はしてない、と言うことにはなる。

過去の米利上げは全て円高に振れた。これも歴史に学ぶことだ。米利上げと日本ゼロ金利、日米の金融政策の対称性は、「ドル高・円安」を想定させる。だからこそ市場はそれを先取りし、事実が起きる前に実現してきた。昨年までの円安はその結果だ。そして事実が起きてからは、蓄積されていたエネルギーの巻き戻しで逆に動く。

つまり、米利上げが実現した現在、「織り込み済み」として逆(円高方向)に動いた。
ウォール街の格言で言う「Buy on Rumor.Sell on Fact.(うわさで買って事実が出たら売れ)」である。この市場心理を知らない人は、「米利上げ」なら「ドル高・円安」に動くと「愚直に」思ってしまう。この場合、「愚直」と言うのは「愚」の方に重点がある。

日本市場を左右するのは原油安だ。産油国系政府ファンドが資金繰りのため、日本株売りに走った。外国投機筋もそれに乗って売りたたく。外国の機関投資家が売買の約7割を占める日本市場は、彼らの思惑次第で大きく動く。日本株は発行株数が多く流動性が高いゆえ大型資金の投機対象になり易い。振れ幅も大きい。

それに比べ、中国(上海市場)株安そのものは、金融市場の問題としては小さい。中国経済の減速を象徴するから嫌気しているだけだ。

要は「逆オイルショック」だ。中国株安=中国の実体経済悪化の象徴→原油需要減→産油国の財政悪化→売りやすい日米市場の株が売られる→産油国の売りに乗じたヘッジファンドの売り崩しで先物主導の乱高下、といった図式だ。

別の側面でみると、比較的安全な通貨として円が世界通貨の「置き場所」に使われる→円高→日本円と日本株との裁定ヘッジファンドが円買い日本株売り、と言う構図もある。

中国政府の経済運営を一応、信じてきた市場関係者だったが、株式市場に対する中国政府の不慣れさと愚かさ加減にあきれて、「中国株安≒日本株安」の現象を生んだ。これは市場が時間をかけて消化して行くであろう。

問題は中国の実体経済の悪化とそれが引き起こす原油安である。加えて米国の対ロシア作戦として原油輸出を武器とし始めたことだ。つまり40年ぶりに米国は原油の輸出を開始して供給過剰にして原油安を誘導し、原油輸出に頼るロシアの財政を圧迫するつもりである。

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