米財務省が16日発表した、5月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高によると、5月末時点の米国債保有国のトップは引き続き中国となっていた。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
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日本の増加は利益確定売りの反動か?4月の年度替わりで
日本は370億ドルと、米国債保有を大きく増加
米財務省が16日発表した、5月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、5月末時点の米国債保有国のトップは引き続き中国となっていた。保有額は1兆1,102億ドルとなり、前月比で28億ドル減少していた。
<国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)>
中国(China, Mainland) 1,110.2 -7.5
日本(Japan) 1,101.0 +37.0
英国(United Kingdom) 323.1 +22.3
ブラジル(Brazil) 305.7 -1
アイルランド(Ireland) 270.7 +1
スイス(Switzerland) 231.4 +4.5
ルクセンブルク(Luxembourg) 229.6 +5.9
ケイマン諸島(Cayman Islands) 216.1 -1.1
香港(Hong Kong) 204.0 -1.9
ベルギー(Belgium) 190.5 +10.7
5月には米中の通商交渉がいったん物別れに終わった。米国の強硬姿勢に対抗するため、中国が今後、米国債の売却を行った可能性は否定できない。ただし、これを交渉の切り札にすることにはリスクがあり、FRBの利下げ期待で堅調な動きとなっている米国債市場への影響も出てくることが考えられる。中国の米国債の保有高は多少減少しようと巨額であることにかわりはなく、中国による米国債の売却で米債の価格を下落させてしまうと自分で自分の首を絞めかねないことも事実であろう。
ちなみに中国人民銀行(中央銀行)が発表した外貨準備高は6月末時点で3兆1,190億ドル、5月末は3兆1,010億ドル、4月末は3兆950億ドルとなっていた。外貨準備高が増加傾向にあったことを考えると、中国は分散投資という名目で米債投資を減少させていた可能性はある。
第2位となっている日本は4月に比べて5月は370億ドル増加していた。これは2017年8月以来の高水準となる。
増加幅は2013年7月以来の大きさとなっていた。4月に日本では年度が替わり、米債に対して利益確定売りが入っていた可能性がある。しかし、その後の米国債相場が回復基調となっていたこともあり、あらためて残高を積み増していたのではなかろうか。
英国は前月比で223億ドル増加させていたが、こちらも相場の動きなどをみての売買のように思われる。
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『牛さん熊さんの本日の債券』2019年7月17日号より
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