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トランプ大統領に翻弄される日本市場、15年で一番の夏枯れ相場はどう動くのか?=山崎和邦

予防的緩和の節目は105円か

物価安定目標が損なわれる恐れがあれば、予防的緩和に踏み切る方向に舵を切ると日銀が言っている。年末年初の9連休が虚を突いて一瞬104円を見た円相場だったが、その後は、1月は110円前後で推移し、最近は107円~108円台で安定している。しかし、105円を突破すれば予防措置の発動の緊迫感が高まる。

投資マネーは株式市場から逃避して社債に向っている

2019年は社債の発行額は既に7兆円に達し、通年で過去最高である。発行主体である事業会社そのものが社債の有力な買い手として浮上してきている。これは超低金利の下で少しでも高い利回りを求める動きである。需要があれば供給も増える。したがって、社債の発行が記録的な高水準になっている。

また、昨年10月2日に大天井を突いたと筆者は見ているが、アベノミクス大相場終焉の後の株式市場での利益を出しにくい時代だから、投資マネーは株式市場から逃避して社債に向っているという面もある。

長保合で「閑散に売りなし」だったが…

今年度の最高値は4月25日の2万2,307円、最安値は1月4日の1万9,561円、その値幅は7ヶ月間で2,746円しかない。しかも出来高はほとんど毎日が2兆円未満である。閑散である。「閑散に売りなし」という言葉が昔から兜町にあるが、この7ヶ月に及ぶ長保合は上下いずれかに動かねばならない

保合というのは仮の姿であって、相撲で言えば土俵の真ん中で組み合ったまま動きがとれない状態を言う。どちらかが勝つと、ちらかが負ける。つまり上昇か下降かいずれかに動かねばならない。本稿はそういう含みを持って述べてきているつもりである。

FRB・ECBなどの世界的な利下げをはやした株高の賞味期限

この項目の標題とした先進国各国の利下げ気運と中長期的に横たわる不穏な環境、これの綱引きによる膠着相場がしばらく続いた。相場がボックス圏で推移する状態が長引けば、日経平均株価の25日線・75日線・200日線の各移動平均が重なりやすい。これは膠着状態の間に溜まったマグマが爆発先を上か下かへ求めているのだ。

昨年の8月か9月には現在と同様に25日線と75日線と200日線とが接近して一ヶ所に固まっていた。果然、10月2日にアベノミクスの老年期相場の大天井を付けて、一挙に3,000円下がった。今、まさしく前記の3本の移動平均は接近している。純粋にテクニカル面だけで言えば、株価変動の予兆となっていた。中長期的には不透明感が多くリスクが多く、短期的には利下げ期待が強く方向感が定まらない。再び上値を目指すと期待する者と、客観的な外部環境から見て慎重な見方とがある。

どちらが正しいかということは結果が決める。無理矢理に結果を割り出してそれに賭けるというやり方はギャンブラーのやり方であって、本稿の趣旨とする正統派のやり方ではない。少額の資金で自分の見通しを試すのも良かろうし、運を試すのも良かろうが、それはあくまでもゲリラ戦であってキャッシュポジションを投入する本舞台ではない。

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