利下げ期待相場の燃え尽き症候群
29日に日銀は政策決定会合を開き30日に発表したが、これを材料視する雰囲気は市場には全くなかった。市場が注目しているのは31日のFRBの委員会FOMCであった。0.25%の利下げが市場のコンセンサスであり、その通りならば、1:株を買い進めることができる。2:材料出尽くしで目先相場は一旦終焉となる。
この1・2のうちのいずれかになるはずであった。グローバルな目で見る投資家はこういうことに一喜一憂するようになっている。したがって中長期の投資家の資金が遠ざかる。そうすると短期投資家の存在感が増し、物色移り変わりはさらに激しくなる。そういう市場に移り変わっていく。東証売買高は先週火曜日までに8日間連続して2兆円を割った。水曜日に辛うじて2兆円の台に乗せたが2.08兆円だった。
業種別日経平均株価の中で証券株の下げが目立っている。先週始めに安値を更新した。個人投資家の象徴とも言える松井証券の株も年初来安値を更新した。所謂「サマーストック」と言われるコカ・コーラ・ボトリングやサーティワンアイスクリームの株価は今年は7月下旬まで冷夏が続いたせいか冴えない。7月末になって猛暑が到来したが既に賞味期限切れだという感がある。
新興市場の低迷
新興市場が低迷している。東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均株価は日経平均に対して出遅れが目立つ。中小型株で運用する投資信託は資金の流出が続いている。中小型株中心の投資信託は6月・7月で670億円の資金が流出した(ゾーニング・ダイレクトによる)。個人の投信解約が増えている。この解約に対応して組み入れ銘柄の買いが新興株の売りとなっている。
一方、半導体市況の回復や米国の利下げ期待の目先上昇期待でハイテク株を中心に外需関連の大型株への資金シフトが進む相場だった。そういう相場は大型株に多い。FRBの利下げ姿勢の新興市場の出遅れが一因となった。つまり、大量資金を稼働させるファンドは本稿が言うところの「大通り銘柄」の運用が主体であり、中小型株は中小型株に興味は薄い。
「工業国ニッポン」にとって製造業株の不振は重荷になっている
製造業が振るわないと日本株は出遅れやすい。この1年間グローバルPMI(グローバル購買担当者景気指数)はサービス業よりもかなり低い。これがサービス業との差が開くと日本株は出遅れとなる。やはり日本は「工業国ニッポン」なのである。
24日発表の7月の各国PMI速報値では、製造業不振とサービス業の堅調さの差の溝が大きい。「米国株買い、日本株売り」のトレードが膨らんでいると見られ、売りポジションはかなり溜まっている(野村證券)。製造業株が持ち直しを示して巨大な売りポジションの買い戻しが出れば別だがこれには時間がかかりそうだ。
北朝鮮の動きと彗星の逆行期と高校野球
5月の連休に北朝鮮がミサイルを2回発射した。株は下がった。今回も2回発射した。
一方、7月8日から8月は彗星の逆行期にある。「この期間は相場が荒れる」という、実証も論証もされていないが市場のアノマリーとしてある。
「甲子園での高校野球が始まると株はもういけない」──これも夏相場のアノマリーだ。
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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年8月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年8月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。