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習近平に打つ手なし。じわじわと中国を死に追いやる解除不能の3つの爆弾=斎藤満

トランプと江沢民派の間で

次に、トランプ大統領と習近平国家主席との間で密かに進めようとしていた「プロレス型興行」、つまり着地があらかじめ見えている通商摩擦が、両者に敵対する中国の江沢民派と米国のネオコン派との連携によって阻まれ、予定通りに進んでいないことです。

前述の香港問題も、習主席のシナリオを、江沢民派とネオコン派米国務省幹部の連携で混乱が拡大しています。

またトランプ政権が求める中国の「改革」に対して、習近平主席は江沢民派を追い落とすためにあえて受け入れようとしていましたが、江沢民派から強い反発が起き、習主席のリーダーシップでこれを治めることができていません。

それがために、トランプ政権は中国のほぼすべての製品に追加関税を掛ける結果となり、中国経済を圧迫しています。

想定外であった米国の追加関税の影響を緩和するために、北京政府は敢えて人民元安を容認、米国財務省は急遽中国を「為替操作国」に認定しました。

北京政府はそれでも基準レートをやや人民元安に設定したために、市場はさらなる米中摩擦の悪化を懸念、これが米国を含め、世界の「リスク・オフ」ムードを強めてしまいました。米国内の反発からスマホなど一部の商品への関税追加が12月に延期されましたが、攻勢が緩和されたわけではありません。

トランプ政権としても、中国が通商交渉に消極的で、米中貿易不均衡も17年の3,500億ドルからむしろ拡大しています。そして中国は米国の農産物を大量購入すると約束しながら、輸入停止を指示しました。関係はむしろこじれ、この先どのような形で終息するのか、めどが立っていません

トランプ大統領は香港の混乱を通商交渉のカードに使う可能性があります。

米中通商交渉のこじれは米中双方の経済に負担となるばかりか、世界貿易の減速を通じて世界の成長抑制をもたらしています。これが第2の爆弾です。

GDPの3倍を超える債務爆弾

さらに、3つ目の爆弾が、中国の抱える巨大債務です。この巨大債務がネックになって政府の財政・金融政策による景気支援が効きにくくなっています。

足元でも景気対策を打っていますが、7月の景気指標は生産・小売り・不動産投資など、軒並み予想以上の悪化を見せています。これが米国を含め、世界にも不安を投げかけるようになっています。

まだ発展途上にある中国経済ですが、IIF(国際金融協会)によると、中国の官民合わせた総債務はすでにGDP(国内総生産)の303%に達し、この巨大債務が経済を圧迫していることです。

しかも民間債務にはドル建て債務も多く、ドル高・米金利高が進むほど中国の債務返済負担を高めます。

Next: 中国に打つ手なし? 巨大債務があらゆる景気対策を阻害する

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