日銀の景気の前提が崩れる
こうした問題が重なって、中国の貿易の収縮が長く続く形になっています。中国の経済指標の中には信頼性に疑義のあるものが少なくありませんが、貿易統計は相手のある統計ゆえに、誤魔化しがしにくいものです。それだけ、中国の経済指標の中では、中国経済の真相に近いものを示している可能性があります。
日本政府や日銀はこれまで、中国の景気対策の効果から、今年後半以降、世界経済は回復に向かう、ということを前提に景気判断をしています。
昨日の日銀支店長会議でも黒田総裁は、輸出や生産が弱いことは認めつつ、それでも「景気は緩やかに回復を続ける」との認識を続けています。この背景には、中国を中心に、世界経済が今年後半から回復に向かうことが前提としてありました。
しかし、今年もすでに「後半」に入っていますが、中国の貿易統計は、中国経済がいまだに回復ではなく、景気悪化が続いている可能性を示唆しています。
日銀の黒田総裁も、中国経済については回復が後ずれしていることを認めています。IMFのように、2020年に向けて世界経済が弱いとなれば、政府日銀の「前提」も崩れます。
安倍政権も日銀も、緊急での景気対策には二の足を踏んでいるように見えます。トランプ政権による中国攻撃が続く中で、FRBによる追加利下げだけで、世界経済の不振を脱却できるのか、不安が募ります。
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『マンさんの経済あらかると』(2019年10月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。