オーナーの手取りは月26万円!? フランチャイズの実情
それでは、実際に店舗の月間収支がどのようになっているか推定してみましょう。
開示資料によると、セブン-イレブンの日販(1日あたりの売上高)は平均65.6万円です。1ヶ月を30日としたときの売上高は1,968万円となります。これだけ見ると「めっちゃ儲かってるじゃん」という気になりますね。
しかし、これはあくまで売上高です。商品には原価がかかります。原価率はおよそ70%と言われ、1ヶ月の売上高を2,000万円とすると、1,400万円が原価となり、残りの600万円が「売上高総利益」です。
以下のサイトを参考にすると、売上高総利益が600万円なら、ロイヤリティが384万円(平均64%)、オーナーの取り分が216万円となります。
※参考:大手コンビニ3社の加盟料・ロイヤリティ徹底比較 – フランチャイズ007
無事オーナーにも216万円が残り、めでたしめでたし……とはいきません。ここから、オーナーにとって鬼門となる人件費を支払わなければならないのです。
バイトの時給を1,000円としましょう。2人体制で24時間回したとして、1日あたりの人件費は4.8万円、30日間で144万円となります。これで、オーナーに残る金額は72万円となりました。
まだ終わりません。オーナーは売れ残って賞味期限が切れた食品などの廃棄を負担しなければなりません。これがおよそ40万円とします。さらに、24時間営業の電気代も馬鹿にならず、約30万円(うち8割は本部負担)かかるとされます。
さて、オーナーには最終的にいくら残ったかというと、
72 – 40 -( 30 × 20% )= 26万円
何とオーナーの月収は26万円という計算になります!仮にも「経営者」とされる人が、わずかこれだけの金額で働いているのです。普通の会社員と比較してまったく割に合わないことがわかります。
コンビニのフランチャイズオーナーになろうとしている人は、これを読んでじっくり考え直したほうが良いでしょう。
深夜の人手不足を担っているのは「オーナー」
都市部ではアルバイトの時給が高騰しています。
上記試算では時給を1,000円としましたが、これが1,100円になったとすれば、毎月の人件費は14.4万円上昇します。すると、オーナーの利益は11.6万円という、大卒初任給すら下回る結果となってしまいました!
この結果を見れば、人件費の高騰がいかに深刻で、オーナーがいかに苦しんでいるか、おわかりいただけるでしょう。
現実としては、バイトの時給を上げても人が集まらないので、オーナー自ら店頭に立って働いていると想定されます。
例えば、1日8時間店頭に立てば、時給1,000円換算でも月間24万円の人件費が浮きます。これはそのままオーナーの利益になるのです。
このように、多くのオーナーは自ら店頭に立って働くことによって生計を立てているのです。もっとも、それなら自らコンビニのバイトをするのと変わりません。
金額もさることながら、深夜に店頭に立つのは身体的に辛いものがあります。近所のセブン-イレブンオーナーのおじさんも、朝方口調がおぼつかない感じでレジに入っています。
だからと言って、バイトに深夜勤務を無理強いするのも時代の流れに反しています。私も大学時代にコンビニでバイトしていたときは深夜勤務を強く要望されました。結局それが嫌で辞めたということもあり、人のいいオーナーほど自ら泥をかぶることになるでしょう。
24時間営業をやめることは、何よりオーナーにとっての働き方改革に他ならないのです。