「相場の極地は手仕舞いにあり」
「相場に勝つのは売り上手」という言葉がある。たしかに買うときには相当な準備をして臨場するのに比べ、売って手仕舞うときはほぼ準備なし。本来は買い4割、売り6割程度の細心さと用意周到な売りシナリオが望まれる。
買いではなく売り場面の想定をした方がパーフォーマンスは上がるような気がする。買った途端に塗炭の苦しみ、あるいは買って満足では話にならない。
「売り損ないの後悔は苦痛」
「後悔に二つあり」と言われる。
一つは、もう少し待てばまだ利益が乗ったのに、下げの不安から売り急いでしまって儲け損なったときの後悔。もう一つは、株価が上昇したのに売り惜しみしているうちに株価が下がりはじめ売り場を失い、あげくの果てに損失まで出してしまったときの後悔。
二つ目の後悔は利益を出せたはずなのに気がつけば損失。これは泣くになけない。もっとも、上昇の極地を待って下げ始めたら即刻売るというスタンスの方が逸失利益は少ないかも知れない。
「一割三割」
株価の決定要因で影響の大きいものは需要と供給のギャップ。
需給バランスに1割のギャップが出ると、株価の変動幅が3割になるという意味であろう。解釈すれば好材料が出たときに、買いが5%増え、売りが5%減り、需給のギャップが10%になったとき株価は30%押し上がるということ。少しのバランスの変化が大きな株価インパクトになる。需給ギャプによる大幅な株価上昇を市場全体の動きと思い込んではいけないという教訓。なかなか難しいが冷静な判断こそ転ばぬ先の杖になる。
株を買うという行為と株価を買うという行為は似て非なるもの。株価を買う場合には面倒くさい指標などは必要ないのかも知れません。
「自分は株を買っているのか。そうではなくて株価を買っているのか」。
この区別を明確にすることも結構大きいです。多くの方は「株を買っている」と思いながら実際の行為は「株価を買っている」もの。株価を買っているのならこういった思考法ではなく、違ったシナリオが必要。時間軸は短くすることが必要です。
株価を買っているのに、株を買う指標を使っているとなかなか相場では勝てません。「短期投資は株価を買い長期投資は株を買い」みたいな思考法を持ちましょう。
「現象的、近視眼的、短期的」ではなく「本質的、多面的、長期的」。これは投資判断の原則にもつながる言葉です。
あれこれ迷うのが、どの銘柄を買うかの結論。
「常識的な報道規範とモラルを持ち、明確な未来予測図が描かれているか」。あるいは「社会に必要不可欠な存在と認められてもらえるかどうか」。あるいは「投資家が夢を感じられて好きになってもらえるかどうか」。
ESGなどのお題目より役立つと考えます。そして自分の投資資金の範囲で考えるよりは、そこから離れて銘柄を考えるクセを付けることも大切です。
「ESG」がアルファベット。これに「ヒミツ」を加えれば万全になる。
ヒ=必要不可欠
ミ=明確な未来像
ツ=強い技術、強い営業力、強いトップ
image by : Nastyaofly / Shutterstock.com
『「兜町カタリスト」』(2019年11月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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