彼方に見える「7月の壁」が気になりだした
しかし、「キャッシュレスの春」は長くは続かないようです。
この制度は来年の6月30日には終了します。ポイントだけでなく、手数料の優遇もなくなり元に戻されますから、今後は利用者の多くと店の経営者たちは影響をもろに受けるでしょう。
すべての優遇が終わった後の来年7月1日は「7月の壁」と呼ばれており、店主たちはそれに備えて、忖度し身構えているところです。
このうち手数料の低利率政策は経済産業省とカード会社の取り決めで実現したものといわれますが、その際に7月以降は利率をもとに戻すという密約があったといわれています。
つまり7月からは元の3%~7%に返すと、カード会社に経済産業省は約束させられたのです。
したがって、7月からの手数料率の引き上げは確実にあると思っておいた方が良いでしょう。
「儲けがなくなった時がやめ時だ」
しかし、こうなると中小店にとっては地獄でしょう。
せっかく還元事業に乗ってカード事業を始めたのに、そしてやっと固定客の取り込みに成功して順調な流れになろうとしているのに、3%〜7%の手数料を払ってしまえば儲けは吹っ飛ぶから、とても継続はできません。
それがわかっているから中小店では、「7月の壁」を前にして、キャッシュレスを続けるべきか、止めるべきか、迷っているのです。
一方、利用者の方も5%のポイント還元がなくなるのなら、買い物は控えるようになるでしょう。
また、お得がないのに、わざわざキャッシュレスを使う必要はなくなりますから、元の現金社会に帰るということです。
また、小銭をじゃらじゃら使う世の中になるのでしょうか。
現金への回帰は起こらない?
しかし、そうした一方的な見方には反論する向きもあります。
ある友人は、「現金社会に帰るというのはキャッシュレスの威力を知らない者が言うことだ」と言っています。
たしかにそうですね。利用者は一度スピーディな決済を体験すると、現金に帰れないと、私も実体験で断言できます。
スイカで0.2秒の決済のスピードを味わったら、もう手放せなくなってしまいました。
それからすでに20年。現金を再び主体で使おうなど考えたこともありません。
人間は安易ですから、便利な方に流れるのです。キャッシュレスも例外ではありません。