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キャッシュレス初詣問題が急浮上。お賽銭の減少、個人情報流出にSuicaとPayPayはどう対処?=岩田昭男

手数料と個人情報流出の問題

しかし、一部の神社が積極的になろうとすればするほど、寺院が反対したり、多くの障害が出てきています。

その1つが、キャッシュレス化してクレジットカードやQRコードを扱うようになると、カード会社に3%~7%という高額の手数料を取られるリスクが出てくることです。

お賽銭は1つずつは小さな金額ですが、3%~7%を取られると収益は減りますから大きな打撃になります。

というのも、これまで宗教法人は税金については優遇されてきましたので、手数料を取られることでさえ敏感なのです。特に寺院側では、この手数料を大きな問題として捉えていてキャッシュレスに反対する勢力は多いと言われています。

さらに寺院側が問題としているのは、キャッシュレス化することは商業行為にあたり、宗教の考え方とは対立するから、現金で行くべきだという主張で、この考えは、京都の寺院を中心に広がりつつあります。

また、キャッシュレスになると、個人情報の収集が始まり、マーケティングに使われるようになるので、それも宗教の自由とは対立するからやめた方が良いという意見もあります。

これらは至極もっともな意見と思いますし、私も賛成です。

しかし、だからといって、厳しい規制をかければ済むことでもありません。適正な規制をかけることが大事なので、いまはその過渡期にあるとみています。

こうした状況は、改善する兆しもあります。手数料についてです。

すでにブロックチェーンという技術が広がりつつありますが、それをうまく使えば、カードの手数料はほとんどゼロに引き下げることが可能とも言われています。

そうした新しい仕組みを活用することで宗教法人の負担を減らすことも可能になるでしょう。

すでに一部のQRコード決済では期間限定ではありますが、手数料タダというところも出ていますから、この問題は早晩解決に向かうかもしれません。

大勢の参拝客をキャッシュレスで捌けるのか?

私が考えるもっと深刻な問題は、正月三が日の初詣のような大量の人出にキャッシュレスでどう対応するか、ということです。平日の参拝のお賽銭なら何の問題もないのです。

神社への参拝者は平日は少ないですし、お賽銭をあげる人が殺到するということはありませんから、キャッシュレスのうちの何を使うか、クレジットカードか、電子マネーか、QRコード決済を事前に十分に選択する時間があります。そして、その利用に関しても、余裕をもって対応できます。

しかし、初詣はそうはいきません。数百万人の人出があると、もう最初からパニックですので、現金以外の何で支払おうかとか、いくらが適正だろうとか、考える余裕はなくなります。

そういう時にどんな仕組み作りが最適なのか、今回は初詣のお賽銭対応について少し突っ込んで考えてみたいと思います。

Next: 三が日のお賽銭は「Suica」に不利? いよいよ「QRコード」の出番か

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