想定以上に利用されているのに、なぜ売上増加に繋がらない?
昨年末に同省が発表した最新の利用状況によれば、10月1日~11月25日までの決済金額は約1.9兆円、ポイント還元額は約780億円となっています。
1日の平均額は約14億円であり、開始当初の約8億円から大きく増えていることが確認されています。
内訳としては、5%還元対象の中小店舗でのポイント還元額は約650億円(約80%)、2%還元対象のフランチャイズチェーン(コンビニ含む)のポイント還元額は約130億円(約20%)で、当初企画の狙いどおり、中小店舗での決済が圧倒的に多く発生していることが確認されています。
それにも関わらず、売上増加には繋がらないということは、一体どういう状況なのでしょうか。
結局のところ利用者は増税分をポイント還元利用で生活防衛しているだけ
こうしてみますとポイント還元ができる店舗は続々と増加中で利用者も増えているのでしょうが、そもそも利用顧客はなんとかして増税分を取り返す生活防衛的な意味合いから、この制度を活用しているにすぎません。
この制度を利用することで、消費意欲が増大したりということはまったく成果として表れていないことがよくわかります。
また、ポイント還元制度に参加した中小企業も、仕組みの導入と還付金を手にするのに手間がかかるだけで、6割以上がなんの実利もないという、かなりダメダメモードな状況に陥っていることが見えてきます。
経産省としては、消費増税のタイミングに景気対策と称してキャッシュレス化を強力に進めるために、こうした還元策を打ち出したのでしょう。
ですから、景気対策などというのは大義名分に過ぎず、キャッシュレスで国民にカネを使わせることで、所得や保有資金を正確に把握することを推し進める狙いがありそうです。
しかし、足もとで実質賃金が下落して可処分所得の減少にあえぐ国民にとっては、まったく何の意味もないことが改めて顕在化していると言えそうです。