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まだ新型肺炎の真実を隠す中国、このままでは14億人の貧困層を抱える大きいだけの国になる=鈴木傾城

中国はアメリカに強硬な貿易戦争を仕掛けられている。すでに経済成長も失い、打つ手が後手後手になってしまっている。そんな中で新型コロナウイルスが蔓延し、どんどん感染者や死者が増えている。中国が新たな成長を取り戻すには民主化と情報の自由化が必要になるが、現状は真逆の方向に向かっている。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

最初から最後まで真実を隠し、今も規制を敷いている

新型コロナウイルスは中国でどのような状況になっているのか、誰も分からないと言っても過言ではない。

政府発表では2020年1月30日の段階で7,800人だったが、当時から現場は「10万人以上の患者がいる」と切実に訴えており、その乖離は壮絶なものがある(編注:2月24日現在、中国の保険当局によると感染者数は7万7,658人とされています)。

中国人ですらも中国共産党政権の発表など信じていない。中国共産党政権は、常に自分たちの都合に合わせて数字を歪曲し、情報隠蔽してしまう。中国では真実を言ったら公安当局に連行されてしまう。

日本でもアメリカでも政権に反対の人は堂々と反対運動を繰り広げて何事もなく日常生活を送っているのだが、中国では同じことをやったら無事に済まない。政権に不都合な人間は「みんな消される」のである。

新型コロナウイルスが封じ込められなかったのも、中国共産党政権は当初、情報を隠蔽していたからだ。いや、最初から最後まで真実を隠し、今もインターネットにも強い規制を敷いている。

情報を隠蔽する。都合の悪い真実はねじ曲げる。それが中国なのである。

中国の検索エンジンでは「絶対に検索できない言葉」もあって、たとえば「天安門事件」と検索しても何も引っ掛からない。それは中国政府は国民に知って欲しくない言葉だからだ。

そのため、今の若年層は天安門事件というものがあったことすらも知らない人もいる。

「何を知らないのか知らない」という状況になる

大陸に住む中国人は、中国政府が許可した情報だけアクセスできて、中国政府が隠したい情報は何も知らないままにされている。

「何を知らないのか知らない」という状況になるのだ。

都合の悪い情報はどんどん検閲されていく。この中国共産党政権の悪しき体質は新型コロナウイルスの蔓延で世界中が知ることになった。

中国はすべてにおいて、そうなのだ。中国では凄まじい大気汚染や環境破壊で癌で死んでいく人間が毎年数百万人レベルで出現している。しかし被害者は隠蔽されているだけで、今も依然として中国を覆い尽くしている。

中国共産党政権の都合の悪い事実は決して知らされない。消される。何も許されない。

次世代を作り出す技術革新は、その多くは自由な環境の中で生まれる。「あれは駄目、これは駄目、なぜ駄目なのか考えるな、政府に従え」という環境であれば、何も生み出せない。

政府が許可したものだけ、海外からパクリで持ってきてそれを運用するだけなので、すべてがワンテンポ遅れる。

そのパクリも、ハッキングやスパイ行為で情報を盗んで行われるので、情報が盗めなくなったら終わりだ。すべて盗んだものだから、そこから独創的な技術革新が生まれることもない。

そもそも下手に技術革新を進めていくと政府の都合の悪い領域に達する可能性もあるので何もできない。これが今の中国の現状なのである。

こうした情報統制や隠蔽体質は、通常の民主主義社会であれば、やがて薄まっていくのだが、中国は共産党の一党独裁なので逆にどんどん強まっている。

報道の自由などまったくない。北朝鮮と大差がない。

なぜ、中国政府は情報統制に走っているのか?

報道の自由と言えば、日本の報道の自由度も低いが、それもそうだろう。

日本では朝日新聞や毎日新聞などが捏造に歪曲に印象操作を行い、中国・韓国・北朝鮮の反日もまったく報道せず、誰が日本で売国スパイをしているのかすらも報道しないような体質なのだ。これで報道の自由が上がるわけがない。

しかし、中国の情報隠蔽というのは、もはやそんなレベルではなく、言論封殺と言っても良い状況だ。

中国では「国家安全法」で、中国にとって都合の悪い外国人もテロリストと決めつけたり、中国に不利な情報を報じる外国人ジャーナリストを国外追放したりしている。

それに飽き足らず、「反テロ法案」というものもあって、中国政府が「お前はテロリスト」と決めれば、その人物はテロリストになる。

たとえば、中国政府は海外から支援を受けたNGO団体の活動家を中国から追い出しているが、その根拠として「国家安全法」や「反テロ法」を持ち出している。

さらに習近平政権は「海外NGO管理法」を制定させて、中国のすべての人権向上のための活動を事実上、完全閉鎖に追いやった。

なぜ、これほどまで中国政府は情報統制に走っているのか。

言うまでもない。中国政府はもう政権運営に行き詰まっており、アメリカのドナルド・トランプとも対立して政治的にも経済的にもボロボロになっているからだ。

しかし、汚職・環境破壊・格差・経済不振を何としてでも隠し通して、中国共産党の一党独裁を維持し続けたいと思っている。

中国は絶対に次の時代の覇権国家になれない

中国共産党では中国の未来はない。しかし、中国はこの共産党の一党独裁なので、政権交代ができない。共産党が駄目になったときの受け皿がない。つまり、中国共産党が終わるときが中国の終わるときだ。

中国は格差問題が解消できないどころかますます広範囲に広がっている。こうしたことから、中国の内陸部では頻繁に暴動が起きている。

しかし、中国は弾圧国家であり、こうした暴動も警察や軍隊の激しい暴力で鎮圧させている。この暴動が抑えきれなくなれば、中国は崩壊するが、もし北朝鮮のように弾圧が延々と続くとしたらどうなるのか。

中国は発展もなく、進歩もなく、どんどんじり貧になりながら続いていくということになる。そうであった場合、中国という国は先進国に向かうのではなく、中進国から貧困国へと向かっていく。

14億人の貧困層を抱えるただの図体だけが大きな貧困国になってしまうのだ。

中国はアメリカに強硬な貿易戦争を仕掛けられている。すでに経済成長も失い、打つ手が後手後手になってしまっている。そんな中で新型コロナウイルスが蔓延し、どんどん感染者や死者が増えている。

中国が新たな成長を取り戻すには民主化と情報の自由化が必要になるが、現状は真逆の方向に向かっている。

中国共産党は、情報の自由化を認めたとたんに14億人の批判対象になって崩壊してしまうので、絶対に民主化も自由も認めない。それならば、中国はこれから情報封鎖と弾圧を繰り返しながら、徐々に途上国へと戻っていくだけだ。

今のまま推移するのであれば、中国は絶対に次の時代の覇権国家になれない。多くの日本人は漠然と中国が豊かになっていく想像ばかりしているが、実はその逆の動きもあることを知るべきだ。

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image by:Matias Lynch / Shutterstock.com

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月25日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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