ACE2受容体
新しい新種が生まれたのではないかとする根拠が、「ACE2受容体」の存在である。
これは「アンジオテンシン変換酵素2」という血圧上昇を抑制する働きのある酵素で、肺の「II型肺胞上皮細胞」にあると同時に、腎臓や心臓でも機能している酵素だ。
新型コロナウイルスは、この「ACE2受容体」に接続して体内に入ることが確認されている。体内に入ると、肺炎などさまざまな症状が出る。
それが武漢で発生した初期型のコロナウイルスは、肺の「II型肺胞上皮細胞」にある「ACE2受容体」から体内に侵入するので肺炎が主な症状となったが、進化型は腎臓や心臓から分泌される「ACE2受容体」を通しても体内に入る。
すると、疾患が現れる部位が腎臓や心臓となるため、腎疾患や心疾患が主な症状になる。このとき、心疾患が原因で突然死するケースも出ているというわけだ。
これは、肺炎を中心的な症状にとする初期のコロナウイルスよりも、危険性が高いタイプだ。
感染しやすく、また重症化しやすい民族がいる
そして、さらに「ACE2受容体」に関してある医学論文が「bioRxiv」という未査読の論文を掲載できるサーバにアップされた。ちなみに「未査読」とは、他の研究者による審査を受けていない論文という意味である。
論文が科学論文として正式に認められるためには、他の研究者に審査してもらわなければならない。これを「査読」という。「未査読」とは、この審査が行われる以前のものなので、非公式の論文だということになる。そのため、科学論文としての信頼性は決して高くはない。
しかし、「査読」という時間と手間がかかるプロセスを通過することなく、先端的な研究をいち早く公開したいという需要があるので、「bioRxiv」のようなサーバが存在している。これはまた、先端的に研究をいち早く知りたいと思っている人々にとっても、便利なシステムだ。
1月26日にこのサーバにアップされた論文が、いま注目されている。それは、「武漢2019-nCovの推定受容体であるACE2の単一細胞RNA発現プロファイリング」という恐ろしく長い題名の論文だ。
この論文が注目したのは、先の「ACE2受容体」である。先にも書いたように、これは肺の「II型肺胞細胞」で発現するが、その発現の量が民族によってかなり異なるというのである。
「ACE2受容体」の発現量が多い民族は新型コロナウイルスに感染しやすく、また重症化しやすい。反対に、これが少ない民族は感染しにくい。そして、感染した場合でも軽症で済む場合がほとんどだ。
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