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新型肺炎でついに世界同時不況へ。米中韓を襲う早期回復不能のマイナス成長地獄=勝又壽良

中国がここで油断すると世界経済が一気に傾く

中国の習近平国家主席は、国内の大半の経済活動再開を指示する一方で、新型コロナウイルス封じ込めを優先すべき2つの地域を指定した。感染拡大の中心地となっている「湖北省」と「北京市」である。

地方では、新型コロナウイルス感染者が減少に転じつつある。農民工は、交通規制解除とともに、北京へ戻り始めている。ここで油断していると、北京が「第二の武漢」になりかねない。新型コロナウイルスは、根治が難しいとされるだけに神経を使う理由だ。

中国政府は、新型コロナウイルスが根治しない限り、中国人の海外旅行を解禁する訳にいかない。根治しないで海外渡航すれば再度、ウイルスを世界中にばらまくことになりかねないからだ。

中国人の海外観光客は、2003年の2,000万人から昨年の1億6,000万人に増えている。この人々が、大手を振って海外旅行できなければ、世界経済復活へのシナリオを書けないのだ。

中国は、世界の工場としてだけでなく、海外旅行市場へ大きな影響力を持っている。旅行ビジネスが、各国で大きなウエイトを持ち始めている現在、中国人観光客が姿を見せない限り、世界経済が復調したとは言えないのだ。

新型コロナウイルスが、世界のサービス経済の動向に大きなカギをにぎっているゆえんである。

中国当局の経済見通しは「楽観的」?

中国当局は、経済の先行きについて楽観論を流している。

『人民網』(3月3日付)は、『ロイター』記事を引用して、アジア太平洋地域および欧米地域のエコノミスト40人の中国経済見通しが、「第2四半期から急速に反転上昇する」を拠り所としている。

仮に、4〜6月期から中国経済が回復軌道に乗るとすれば、その大前提はWHO(世界保健機関)から「新型コロナウイルス終息宣言」が出ることが必要である。現状からみて、早期の終息宣言発令は不可能だ。

中国経済を支える輸出回復には、世界経済が早期回復しなければならない。

OECDは、今年の世界経済成長率を不況型の2.4%と厳しく見ている。4〜6月期に中国経済が、「急速な反転上昇」できない環境なのだ。

となれば、中国経済は通年で「5%成長」ですら、過剰期待と言うほかない。

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