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新型肺炎でついに世界同時不況へ。米中韓を襲う早期回復不能のマイナス成長地獄=勝又壽良

FRB緊急利下げ舞台裏

FRBが急遽、0.5%の利下げに踏み切った背景は何か。

米国経済が、新型コロナウイルスの影響をかなり受ける見通しとなった結果であろう。『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(3月4日付)は、利下げでも米経済を救えない理由を2つ上げている。

(1)FRBは、感染拡大によるサプライチェーン(供給網)の混乱で、部品が調達できない工場を再稼働させたり、不安にかられた旅行者を飛行機に乗せたりすることはできない。
(2)こちらの方がより重要かもしれないが、中央銀行は景気循環への対応能力を失いつつある。

私のコメントは、次の通りである。

(1)問題の本質は、新型コロナウイルスによって引き起こされたものである。金利を下げても感染不安が除去されないのだ。最大の効果は、WHOによる終息宣言しかない。

(2)金利機能が次第に低下しているという問題意識である。2008年の金融危機以降、生産性の伸び低迷や人口高齢化などの構造的要因が、慢性的な低物価・低成長をもたらしている。これが金利効果を大きく減殺している。

ここに登場しているのがMMT(現代貨幣理論)である。

米国で昨年から脚光浴びているもので、日本の国債発行が破綻しない理由をモデル化している。国債発行が生産的分野に使われていること。経常収支が黒字であること。国債は国内発行であること。以上の3条件が満たされている限り、国債発行は経済成長に寄与するものとしている。

日本や欧州は、すでにマイナス金利である。欧州では、国債発行を罪悪視しない前兆を見せ始めている。日本の例を参考にしているからだ。

MMTが米国で脚光を浴びているのは、脆弱なインフラ投資を国債発行で賄い、生産性上昇へのテコ入れにすべきという理由である。民主党の大統領候補に名乗りを上げているサンダース氏が支持している。

米国、上半期はゼロ成長?

0.5%の金利引き下げでも、新型コロナウイルス禍には打ち勝てない。

そういう理由が、前記の2つで説明できるとすれば、今後の米国経済はどうなるかだ。WSJは、次のように指摘している。

世界の著名投資銀行であるゴールドマン・サックスは、人々が社交や集会を避ければ痛手を被るエンターテインメント、外食、教会の礼拝、公共交通などのサービス業は、米GDPの10〜15%を占めると推計している。その結果、感染拡大の影響で米国のGDP成長率は、下記のように相当押し下げられると予測する。

次のような「5大需要項目の変化」を勘案している。

  1. 米国内の感染拡大による需要への影響
  2. 米製造業への供給網混乱の影響
  3. 米小売業への供給網混乱の影響
  4. 米国への中国人旅行者
  5. 米国から中国へのモノの輸出

前記の5大需要項目は、上半期はすべてマイナスへ。7〜9月期がプラス・マイナスでゼロ。10〜12月期は全需要項目がプラスに転じるという予測である。

Next: 韓国経済は壊滅的打撃。今回の新型コロナウイルスは何がヤバいのか

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