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新型肺炎でついに世界同時不況へ。米中韓を襲う早期回復不能のマイナス成長地獄=勝又壽良

中国・武漢市を発症地とする新型コロナウイルスが、ついに米国経済を揺るがす事態になった。中国の早期回復は不可能で、韓国は大きな試練を迎えている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年3月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

新型コロナウイルス前から限界に来ていた世界経済

中国・武漢市を発症地とする新型コロナウイルスが、ついに米国経済を揺るがす事態になった。

FRB(米連邦準備理事会)は3月3日、政策金利を0.5%引き下げた。この慌ただしい動きの中に、今回の新型コロナウイルスが米国経済はもちろん、世界経済に与える影響の大きさを窺い知ることができる。世界経済が短期間で回復するという楽観的な見通しを否定するものだ。米国は、年1.50〜1.75%から年1.00〜1.25%に引き下げた。

世界経済が突然、新型コロナウイルスで変調を来たしたわけではない。昨年10月中旬、IMF(国際通貨基金)チーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は、日本経済新聞の取材で、「世界経済は90%の国・地域で景気が減速しており、(米中)貿易戦争などの地政学リスクが深刻になれば、世界景気は不況に近づく」と警鐘を鳴らしていた。

世界経済の体力が消耗してきた時点で、新型コロナウイルス禍が重石となって加わるのである。

前記のゴピナート氏は、世界経済の成長率が2.5%を下回れば景気後退と定義している。最新のOECD(経済協力開発機構)経済予測(3月2日発表)では、次のような見通しである。今年1-3月(第1四半期)は、マイナス成長になる可能性を認めている。通年の成長率では、昨年11月時点(2.9%)から0.5ポイント引き下げて2.4%とした。これは09年以来の低成長となる。

要約すれば、今年の世界経済成長率は2.4%になり、不況局面を迎える。昨年のIMF予測では、今年が3.4%となり回復見込みであった。それが、回復どころか不況局面へと逆走する。

FRBが、0.5ポイントもの利下げに踏み切った理由は、以上のOECD予測によって裏付けられる。米国経済の最新見通しについては、後で取り上げるが深刻である。

深い傷を負った中国経済

これまで、コロナ騒動の震源地である中国経済について、楽観論が語られてきた。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の経験から、中国経済は早期に回復するというものだった。現在の中国経済は、SARS当時と大きな差がある点を見落とした議論だ。

中国経済が、コロナウイルス禍で受ける衝撃は、SARS時と比較にならないほど大きくなる。その理由を以下に整理してみた。

(1)SARS発症は、広東・香港・北京など一部の地域に集中した。
(2)コロナウイルス発症は、はるかに広範囲である。湖北省が感染者全体の70%以上を占めるが、中国の中部地域、中国経済の心臓部である沿海地域と大都市地域に拡散している。

中国が、WTO(世界貿易機関)へ加盟したのは、2001年12月である。SARSが、発症したのは2003年。中国経済が、世界に占める比率は約4%であった。しかも、SARSは一部の地域に限定されていた。現在、中国のGDPは世界で約16%に達し、新型コロナウイルス感染地域は、ほぼ全土に拡散している。中国は、一大サプライチェーンを形成し、世界経済へ及ぼす影響力は、SARS時と比較にならないのだ。

新型コロナウイルス感染者は、完治したと言っても再度の陽性反応を見せるなど、一筋縄ではいかない難しさがある。となれば、インフルエンザ同様に、毎年冬季に感染発症するという難敵になる危険性を抱えている。

Next: インフルのように毎年問題化?中国がここで油断すると世界経済が一気に傾く

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