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大家さんに我慢を強要。コロナ家賃滞納を正当化するアンフェアな日本社会=姫野秀喜

コロナの影響で「賃料の負担が大きい」などと、なぜか家賃や賃貸オーナーを悪者にする風潮ばかり目立っています。大家さんはいつもアンフェアに扱われるのです。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

コロナで「家賃」が悪者に?

コロナの影響で「賃料の負担が大きい」などと、なぜか家賃や賃貸オーナーを悪者にする風潮ばかり目立っています。

コロナ禍で家賃が滞納されないか、保証会社が破たんしないか。家賃が入らなくなり、銀行への支払いができなくなって破たんしないだろうかと、不安な毎日を送っている大家さんもいると思います。

実際、知り合いのオーナーが経営しているテナントビルでは、退去する業者も出てきました。レジデンス(住宅)での滞納は今のところ起きていないみたいですが、長引けばどうなるかはわかりません。

テナントでは家賃補助を政府が行うとのことですが、レジデンスの家賃補助は対象者(所得が超低い人のみ)が限られており、あまり救いの手は差し伸べられていないようです。

大家さんに我慢を押し付ける社会

そんななか、日弁連が「緊急事態宣言の影響による賃料滞納に基づく賃貸借契約解除を制限する等の特別措置法の制定を求める緊急会長声明」という、長い名前の声明を出しました。

この声明のポイントは、

・コロナで家賃が払えない → 支払猶予しろ
・コロナで家賃を滞納した → 退去させるな

という、大家さんの権利を制限する「特別措置法を作れ」と言っているのです。

こういう声明や、報道を見ていつも思うのは「大家さんはアンフェアに扱われる」ということです。本当にアンフェア(=公平でない)です。

どの辺がアンフェアか、この声明の一部を抜粋してみます。

民法の解釈では、賃料の不払を理由に賃貸借契約を解除するには、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要とされる。

この解釈によれば、緊急事態宣言の影響により3か月程度の滞納が生じても、直ちに解除が認められないケースが多いものと考えられる。

しかし、どのような場合に信頼関係の破壊が認められるかは事案ごとの判断とならざるを得ず、賃借人の不安を解消しきれない。

出典:日本弁護士連合会:緊急事態宣言の影響による賃料滞納に基づく賃貸借契約解除を制限する等の特別措置法の制定を求める緊急会長声明 – 日本弁護士連合会(2020年5月1日配信)

「賃借人(入居者)の不安を解消しきれない」ですって。

いや、いや、いや、これは逆に、「賃貸人(大家さん)の不安を解消しきれない」んですよ。

1か月や2か月の滞納をされても解約できず、3か月待って、やっと解約手続きを開始できるわけで。法的手続きなどを行って退去させるまでに半年滞納されるなんてのがザラなんですよ。

滞納した6か月分の家賃を請求する権利があるなんて、実効性のない権利を大家さんが持っていても、結局、滞納した家賃は回収できないんですよ。

Next: 世の中の人やマスコミの大半は、大家さんは大地主とかでお金に余裕がある――

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