fbpx

au「KDDI」の名を捨て天下取りに本気。auPAYの失策大炎上を経て快進撃が始まった=岩田昭男

「金融サービス」から「生活者向けサービス」へと方向を変えた

この大改革について、auフィナンシャルホールディングスの担当者は、「構想の中核にあるのは、金融サービスの提供ではありません。スマートフォンを通じてお客様の日常生活における金融や決済サービスをより身近に変えていくことを目指しています」と話す。そのため、プランの中から「金融」という言葉をあえて外しているという。

そういわれれば、たしかにWALLET(お財布)という単語は消えて、PAY(決済)に名称を移行しているし、金融に限らず、広い範囲で使える「Pontaポイント」を導入したことから、auの今後の戦略が見えてくるように思われる。

さらに、MVNOなど通信事業への参入基準の緩和や、キャッシュレス決済の動向を受けて、自社だけで完結した「金融優位」の経済圏を確立するよりも、他社と組んで生活者に近い経済圏を拡大することを選んだといえる。

その現れが、2019年8月29日から「au PAY」をキャリアフリー化したことや、今回の「Ponta
ポイント」への移行なのだ。

QRコード決済会員数の比較

通信事業大手3社の中でも、KDDIは特に存在感が薄い。

「auPAY」の会員数は2,200万人(2019年12月時点)、「PayPay」の会員数も2,400万人(2020年2月時点)、「dポイントクラブ」の会員数は7,500万人(2020年3月31日時点)となっている。

auの会員数が極端に少ないようには見えないが、前身の「au WALLET」が2014年から決済サービスを展開してきたのに、2018年に登場した新参者のPayPayにすでに会員数で200万人も差をつけられているのだから、いかに伸び悩んでいるかがわかるのだ。

もともとauは、au経済圏を事業計画に打ち出していた。au携帯電話サービスの契約件数は5,809万人(2019年12月時点)もあり、生活者指向の素地はすでに十分にあったのだが、これまで「金融サービス」にこだわってきたため、QRコード決済では、ライバルに差をつけられたのではないかと思われる。

Next: これまでKDDIグループは、各事業部の統合を図ろうとしたが、そのたびに――

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー