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リモート後進国に落ちた日本。なぜオンライン診療・オンライン教育が進まない?=原彰宏

オンライン診療は儲からない?

ドクターに聞けば、通常診療よりかは点数は低いです。病医院経営から見れば“あまり儲からない”ということになります。

診療報酬における「遠隔診療(情報通信機器を 用いた診療)」は以下に大別されます。

・専門医師が 他の医師の診療を支援する Doctor to Doctor (DtoD)
・医師が遠隔地の患者を診療する Doctor to Patient (DtoP)

DtoDの代表例は遠隔放射線画像診療や遠隔術中迅速病理診療で、DtoPは島しょ地域(いわゆる離島)、在宅や介護施設などで療養する患者に情報機器応用して診療するもので、その内訳は

・情報通信機器を用いた診察
・情報通信機器を用いた遠隔モニタリング

となっています。

情報通信機器を用いた診察とは……医師が情報通信機器を用いて患者との離れた場所から診療を行うもので、オンライン診療料、オンライン医学管理料、オンライン在宅管理料、 精神科オンライン在宅管理料、電話等による再診料が認められました。

情報通信機器を用いた遠隔モニタリングとは……情報通信機能を備えた機器を用いて 患者情報の遠隔モニタリングを行うもので、在宅患者酸素療法指導料、在宅患者持続陽圧呼吸療法に遠隔モニタリング加算が設けられました。

この「電話」による再診料なのですが、電話で「血が止まらないが処方されている(血液がサラサラになる)薬はやめたほうがいいか」と聞いたら、その時の回答が「皮膚科に行って下さい」と言われたのですが、そのことに関してもしっかりと「電話による再診料」が請求されました。

理想論ばかりで進まない、日本のオンライン診療

オンライン診療を行うには、

・医師と患者の信頼関係
・医師が責任を負う
・医療の質の確認及び患者安全の確保
・オンライン診療の限界などの正確な情報の提供
・安全性や有効性のエビデンスに基づいた医療
・患者の求めに基づく提供の徹底

を徹底することを求めています。
参考:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針(2018年3月)」

「医師の責任」は常に求められるものですが、オンライン診療では、特にこのことを強調しています。

医師はオンライン診療で十分な情報を得られているか、その情報で 適切な診断ができるか等について、慎重に判断し、オンライン診療による診療が適切でない場合には、速やかにオンライン診療を中断し、対面による診療に切り替えることが求められるとしています。

また、オンライン診療による診療行為の限界等を正しく理解したうえで、患者および その家族等に対して、オンライン診療の利点やこれにより生ずるおそれのある不利益等について、事前に説明を行わなければならないとしています。

オンライン診療は、患者がその利点および生ずるおそれのある不利益等について理解したうえで、患者がその実施を求める場合に実施されるべきも のであり、研究を主目的としたり医師側の都合のみで行ったりしてはならないとしています。

オンライン診療は、医師側の都合で行うものではなく、患者側からの求めがあってはじめて成立するものである、としています。

求められるのは、対面診療の原則の上に立った、患者との相互信頼に基づく、患者本位の診療である、としていますね。

厚生労働省は、原則として、オンライン診療を行う全ての医師は、直接の対面診療を経た上でオンライン診療を行うこととしています。

ただし、在宅診療において在宅療養支援診療所が連携して地域で対応する仕組みが構築されている場合や複数の診療科の医師がチームで診療を行う場合などにおいて、特定の複数医師が関与することについて診療計画で明示しており、いずれかの医師が直接の対面診療を行っている場合は、全ての医師について直接の対面診療が行われていなくとも、これらの医師が交代でオンライン診療を行うこととして差し支えないとしています。

これらの文章を読んでいると、倫理上の理念はまさにそのとおりなのですが、とてもじゃないですが、リモート診療が大きく前進するイメージが、全然湧いてはきませんね。

日本もオンライン診療を活用して医療を効率化し、年40兆円を超える医療費の削減につなげる必要があると思うのですがね。

まずは遠隔診療の報酬を見直すべきでしょうね。

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