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平均年収1800万円!キーエンスの営業力はコロナ後も通用するのか?=栫井駿介

営業利益率50%超の化け物!すべての企業が目指すべきキーエンスの経営とは?

しかしそれでも、社員に2,000万円近い高給を支払っていたら、収益を圧迫すると思われるかもしれません。

ところが、有価証券報告書を見ると、売上高に占める人件費の割合は15%弱にすぎず、大きな負担となっているわけではないことが分かります。

高い給料がほとんど関係ないほど、高い価格で売りまくっているのです。

その結果、キーエンスの営業利益率は50%を超え、10%で優良、30%で優良と見られる製造業の中で、まさに化け物のような数字を叩き出しているのです。

この数字はキーエンスの企業理念をそのまま体現したものと言うことができます。

その企業理念とは「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」というものです。その成果が「50%」というとんでもない営業利益率となって現れているのです。

その原動力となっているものこそが、顧客のニーズを汲み取る営業マンということになります。ここまで来ると、キーエンスの社員がなぜ高い給料をもらえるのかおわかりいただけるでしょう。

企業のあるべき目的とは付加価値を生み出すことであり、それを実現する人材に対しては惜しみなくお金を支払う。これこそが、すべての企業が目指すべき姿です。

経営学部の大家であるピーター・ドラッカーも、「企業の役割はマーケティングとイノベーションである」と言いました。キーエンスの経営はそれを体現したものなのです。

素晴らしい企業の戦略ほど単純明快

キーエンスの近年の業績は右肩上がりに成長しています。要因としては、FA市場の拡大と海外進出の加速があります。

特に海外進出に関しては、この10年の間に海外売上比率を30%から50%へと引き上げています。

上述したような原理原則に加えて、キーエンスの戦略といえば「海外進出の加速」に集約されます。足元がしっかりしているからこそ、たったこれだけの戦略で十分に業績を伸ばすことができますし、逆に言えば素晴らしい会社の戦略こそシンプルだということができます。

全ては付加価値の創造のために
1974年の会社設立以来、付加価値の創造こそが企業の存在意義であり、また、そのことによって社会へ貢献するという考えのもと、全社一丸となって事業活動に取り組んでまいりました。
世の中にない価値を生み出すことに取り組み続け、新商品の約70%が世界初、業界初の商品となっており、世界のさまざまな業界のお客様に当社商品をご採用いただいております。おかげさまで世界のグローバル企業の中でも有数の優良企業として高くご評価いただけるようになりました。

本来の目的を見失うことなく、行動し続ける。
当社の経営において大切にしていることは、「経営にとって当たり前のことを当たり前に実践する」ということです。これを実践するうえで「目的意識」を持つことを常に意識しています。
たくさんの人数で仕事を進めると、その手段が目的となり、結果として当たり前のことが徹底できなくなってしまいます。「何のためにその仕事を行っているのか、何に役立つのか」を考え、本来の目的を見失わないように心掛けることで、当たり前のことを当たり前に実践することが可能となります。

今と将来に向けて
当社の経営において優先度の高い課題は、「海外での販売比率を高めること」です。
現在の海外売上比率は市場のポテンシャルに比してまだまだ低いと言わざるをえません。大きく成長余地のある海外市場において、当社ビジネスモデルであるダイレクトセールス体制をしっかりと根付かせることで、売上を大きく伸ばしていけると考えております。
また「高い付加価値を持つ商品を世に送り出し続けること」も重要な課題です。ものづくりの現場で何が起きているか正しく把握し、先を見通すことで、お客様もまだ気づいていない課題を解決する新しい価値を持った商品が生み出されます。
社員一人ひとりが生み出した付加価値が社会の皆様のお役にたてますよう、全社員一丸となって真摯に業務に取り組んでまいります。

代表取締役社長
中田 有

出典:社長メッセージ − キーエンス企業サイト

皆さんもぜひ会社の開示資料を見比べてみてください。

業績が伸びている企業のものはわかりやすく、逆にそうではない企業のものはごちゃごちゃしていることが多いものです。

それがそのまま株式投資における銘柄選択にもつながってきます。

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