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情報銀行は日本の起死回生となるか?怯めばGAFAの下請けになるだけ=岩田昭男

GAFAの下請けになりかねない日本企業

GAFAはプラットフォーマーと呼ばれ、インターネットの検索システムやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)、EC(Eコマース=電子商取引)などのサービスを個人に提供する。これらのサービスはすべて無料だが、利用者はたとえば閲覧データという個人情報を対価として払っている。

試しにグーグルの検索履歴の一覧を見るといい。多くの人が驚くに違いない。アカウントを開設して以降、いつどんなサイトを訪れ、何を検索したか、誰とどんなメールのやりとりをしたかなどがすべて網羅されている。住所、氏名が明記された電気料金の請求書のPDFファイルなども含まれている。

こうして集められた膨大な個人情報は、利用者の利便性のさらなる向上に使われる。検索の効率がアップしたり、欲しい商品が探しやすくなったり、好みの商品をすすめられたりするようになる。

しかし、それだけではない。吸い上げられた個人情報は、たとえばネットの閲覧履歴を記録した「クッキー」と呼ばれるデータになる。クッキーはプラットフォーマーからデータ仲介業者に売られる。このデータが個人を特定できないように加工され、企業のターゲティング広告やマーケティングに利用される。

この個人情報の収集・集積にいち早く成功し、新たなビジネスを生み出すことで莫大な利益を上げているのがGAFAだ。日本最大のポータルサイトのヤフーも、日本で図抜けた存在のECサイトの楽天市場も、グーグルやアマゾンには到底太刀打ちできない。

このままでは日本企業はGAFAの下請けのような存在に成り下がってしまうと懸念する経済人や官僚が少なくないのだ。

GAFAに対する規制を強化する各国

GAFAの「データ独占」に対してEU(欧州連合)では2018年5月からGDPR(一般データ保護規則)が施行され、個人が自分の情報(データ)を持ち運べる「データポータビリティー権」が確立された。

これによって、個人が企業に預けた情報を自分の意思で持ち出すことができる法的裏づけができた。同時にヨーロッパのIT企業がアメリカ資本のGAFAに対して対抗するすべを持ったという見方もできる。

OECD(経済協力開発機構)は、GAFAに対して「デジタル課税」を課すルールづくりを続けている。日本では公正取引委員会が2019年8月に、GAFAを含む巨大IT企業の本人の同意を得ずに個人情報の収集をしたり、ターゲティング広告に利用したり、企業に販売したりすることは独占禁止法違反(優越的地位の乱用)になるというガイドラインを公表している。

このようにGAFAに対する国際的な規制が強まるなかで誕生した情報銀行には、個人情報の利活用による経済や企業の国際競争力の向上と同時に、データポータビリティー権の保障やプライバシー保護が強く求められるのはいうまでもない。

Next: 日本でも情報銀行が始動。セキュリティ関連の不祥事が続くが大丈夫か?

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