fbpx

偏向報道ありきの米大統領選、トランプはもう正攻法では勝てない=吉田繁治

世論調査にも偏りアリ

CNNとは違い、共和党が地盤の保守系メディアは「FOX」や「ABC」、世論調査では「トラファルガー・グループ」です。世論調査でも、日本の読売・産経新聞(自民党寄り)と朝日・毎日・東京新聞(反自民党)よりはるかに強い偏向があります。

電話調査では最大の多数派になる、無党派層の「どちらでもない」と答えた人に対し「そこをあえていえば、どの政党の支持ですか」と押して訊ねると、そのときの与党側への支持が、3~5ポイントくらい増えることが多い。自民党の支持率が、いつも一番高い読売新聞は、この方法をつかっているでしょう(未確認ですが)。メディアも政治的です。

日本で取り上げられる米国報道は、最大手メディアのCNN、革新系のNew York Timesやワシントン・ポスト、中立性が見える金融・経済のWall Street Journal(当方は購読)をもとにすることが多いと思われます。

米国全体の支持率の差である8~10ポイント(バイデンの優勢)から、変わらず「バイデン有利、トランプ不利」を伝えています。

2016年の、クリントン対トランプでも、米国と日本の多くのメディアは民主党系のメディアに頼って、「クリントン(夫人)有利」を伝えて間違えたのです。

「クリントン有利」と報道された2016年の事例

2016年には、全米の世論調査では、5ポイントから7ポイントくらいの「クリントン有利」でした。

州単位での、選挙人の獲得の結果は、トランプが306名(2名がトランプ投票を拒否)、クリントン232名(5人がクリントン投票を拒否)であり、トランプの圧勝でした。

このとき国民の投票数では、クリントンが200万票(1.7%)上回っていました。事前の世論調査の5ポイント差は、選挙結果に対して過大だったのです。

<アンケート回答者に偏りが出る>

実際に投票する人(内陸部の共和党支持の投票率が若干高い)と、調査に答える人には、サンプルの差異があります。調査は無作為抽出で行われるので、無党派と民主党支持が多い都市部人口のアンケートが増えます。

サンプリングする世論調査では、都市部人口の対象が、多くなります。共和党支持が少なく、民主党有利が出やすい。世論調査では3~5ポイント分、民主党支持が多いと出やすいでしょう(当方の推計)。世論調査には答えても、投票には行かない無党派層がいるからでもあります。

<投票率の低さ:44%は棄権>

2016年の投票率は、56%でしかなかった。日本の衆院選挙の投票率も53%でした(2017年9月:前回)。米国の国政への投票率は日本とほぼ同じです。両国とも、投票に行かない無党派が増えています(約40%~45%)。

(筆者注:ギリシアでは、国政選挙は国民の義務とされ、棄権すると罰金が課される。他にも義務投票の国は、オーストラリア、シンガポール、スイス、タイ、ベルギー、ルクセンブルグ、アルゼンチン、エジプト、トルコ、ブラジル…など多数です。イタリア、メキシコ、フィリピンでは罰金がなくても、義務制です。無党派が40から45%といわれる日本でも、投票を義務制にすればいいと思っていますが、自民党は好まないでしょう。)

Next: 投票義務制にすれば政治が動く。トランプ再選はかなり困難?

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー