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神社本庁「コロナ禍の初詣」強行のウラ、金と権力の罰当たりな事実=原彰宏

神社本庁の人事介入

神社本庁は、包括している別表神社に対して人事介入ができる旨は説明しました。個別の事例について、いくつかご紹介します。

<原発建設に絡む人事介入>

山口県の四代八幡宮境内の森売却問題で、鎮守の森売却に反対する宮司が無理やり解任させられています。2016年のことです。この境内の森を、中国電力「上原原発」建設に使うからのようで、神社本庁側が原発建設に加担したという構図になっています。

神社本庁側の、この森売却に関して「原子力発電は地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しないため環境破壊に当たらない」というメッセージを出しています。森売却を反して解任された宮司の、“ニセの退職願い”までもが登場しています。その宮司は、裁判の途中で命を落としています。

これが山口県で起きていて、当時の政権が安倍政権であることは注目したいです。

<殺人事件にまで発展した人事介入>

「深川の八幡さま」として知られる富岡八幡宮(東京都江東区)が神社本庁を離脱したの2017年のことです。離脱の直接的な理由は、富岡八幡宮の宮司人事について、責任役員会の具申を本庁が無視し続けてきたためだとしています。

先代宮司の引退後、長女が代行役の「宮司代務者」に就いていました。その長女を正式に宮司にしようと、2013年から2017年春まで合わせて3回具申したものの本庁側が認めず、先延ばしされ続けてきたとのことです。

この人事の揉め事が起きた理由はわかりませんが、神社本庁が大神社の人事に直接介入していたという事実は明白で、それが理由で富岡八幡宮は離脱したということです。実に不透明は話ですね。

<世襲宮司の伝統と神社本庁から栄転させた宮司との争い>

大分県宇佐神宮でのことです。

2008年、先代の宮司がなくなったことで、世襲家である到津家で唯一の末裔となった女性が急遽、神職の資格を取得し、その上で、その女性が宮司になるまでの“中継ぎ役”として、当時の県神社庁長が宮司を務めていました。

ところがこの“中継ぎ役”が世を去ったのです。

ここでも、宇佐神宮の責任役員会は、その死の直前、世襲家の到津氏(女性)を新しい宮司にすべしという具申を行いましたが、本庁側は女性の経験不足を理由に拒否し、またも当時の県神社庁長を特任宮司(任期3年程度)として任命したのです。

これを不服とした到津克子さんが2009年に本庁に離脱届を叩きつけ、2010年には宮司の地位保全を求めて提訴しました。到津さんは一方的に役職を奪われ、給与も減らされ、さらに暴力行為や監視、密告などのパワーハラスメントを受けたとのことです。2013年に最高裁で敗訴が確定し、翌2014年に到津さんは宇佐神宮から解雇されてしまいます。

福岡高裁での控訴審は結審し和解協議が進められていましたが、高裁が元宮司邸である到津家の建物を「8年後に明け渡すこと」などの和解案を提示したため、到津さん側は「住居明け渡しは事実上、到津家の廃絶を意味する」としてこれを拒否し、苦渋の思いで一審判決確定の道を選んだ。

一審判決とは、到津さんへのパワハラがあったことを認定し、宇佐神宮側に137万円の賠償金支払いを命じ、境内地の住居維持を認めながらも「免職・解雇は有効」というものです。

この判決確定の直後、宇佐神宮側は到津さんが料金を支払っていた電気、ガスなどのライフラインを一方的に解約し、九州電力から到津さんの元に「送電停止のお知らせ」が届いたそうです。

さらに宇佐神宮側は本殿裏手につながる到津家住居前の歩道の一般車両の通行を禁止する通知を地元に回覧するなど、到津さんへの嫌がらせとも受け取られる事態が続いているというのです。

宇佐神宮には、まだ話の続きがあります。

この後のテーマである「不動産不正取引」で、神社本庁側の功労者の栄転先として、神社本庁の田中総長の意向を受けて神社本庁総務部長から2016年2月に宇佐神宮の宮司に就任した小野崇之氏と地元との関係も悪化しているのです。

この間、宇佐神宮の氏子有志らによる「宇佐神宮を守る会」が小野宮司らの退任を求める署名を提出、元責任役員の1人は「宇佐神宮問題の根っこは神社本庁問題」として、到津家排除の動きは単なる一神社の宮司問題ではなく、神社本庁は外では安倍政権と一体化して改憲運動の先頭に立ち、内ではあからさまな中央支配を進めようとしていると批判しています。戦前の国家神道の時代への回帰を狙ったものだと、強く非難しています。

意向にそぐわなければ任命しない、どこかで見たことがあるような……。

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