東京オリパラを開催するのか否か。決断のタイムリミットが迫っています。鍵を握るのは米国の政治的思惑で、北京五輪を潰すために「東京五輪」にも選手団を派遣しない可能性が出てきました。中止でも開催でも損害を避けられない状況ですが、小池百合子氏にとってはどちらに転んでも好都合と言える状況です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年3月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
決断のタイムリミット迫る
この夏の東京オリンピック・パラリンピック開催の決断が迫っています。
もちろん、IOC(国際オリンピック委員会)、JOC(日本オリンピック委員会)ともに開催を前提に動いています。新たに橋本代表を得た組織委員会も準備にまい進しています。
しかし、国内外に依然として再延期や中止を求める声が少なくないのも事実。
聖火リレーはこの25日に福島をスタートします。そして開催する場合、国内外の観客をどうするか、3月中に判断する意向と言います。
いずれにしても、当局が決断をするタイム・リミットが迫っています。
不確実性は引き続き大
2月19日のG7首脳電話会談では、夏の東京五輪開催をうたったものの、その後、不確実性は払しょくできていません。
英紙タイムズは3月3日の電子版で、この夏の東京オリンピック・パラリンピックについて「中止するときが来た」とのコラムを掲載しました。同紙のリチャード・ロイド・パリー東京支局長によるもので、新型コロナの感染拡大をもたらすイベントは、日本だけでなく世界にもリスクだ、と述べています。
また米国フロリダ州は、東京オリンピックのフロリダでの開催を促しています。
米国のバイデン大統領は、「オリンピックについて開催できることを希望しているが、まだわからない。(感染状況など)科学的に判断する必要がある」と述べています。
その感染状況ですが、多くの種目が開催される首都圏では感染者数が下げ止まりから反転の兆しを見せています。科学的にゴーサインが出せる状況でもありません。