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カジノ誘致で再び波乱「横浜市長選」が握る菅政権の命運。秋の衆院選を占う試金石に=原彰宏

なぜ「小此木八郎国家公安委員長」なのか

横浜には強力なフィクサーがいます。藤木企業株式会社、藤木グループ総帥・藤木幸夫代表取締役です。「ハマのドン」と呼ばれ、自身の会社が港湾物流を手掛けることから、横浜港運協会の会長も務めていました。横浜エフエム取締役会長、株式会社横浜スタジアム元取締役会長と、肩書だけを見ても、横浜という地域に大きな影響力があることが、容易に伺えます。

藤木氏が動けば、大きな票が動くのでしょう…。

「横浜プライド」という標語を掲げて、横浜港山下埠頭の再開発に関する提案、具体化を図ることを目的とする、横浜港運協会を母体とした一般社団法人ハーバーリゾート協会(YHR)があります。2019年に藤木幸夫氏が設立したもので、ここには、横浜港の港運事業者244社が加盟しています。

ホームページを開けば、一番最初に「横浜プライド」という言葉が目に飛び込んできます。その下に「先人たちが築いてきた礎の上に…」という表現から始まる文章がありますが、まさに、この年代の人たちが好んで使う表現のように思えてなりません。
※参考:横浜港ハーバーリゾート協会

「再開発」という言葉がキーワードです。この表現が、今までの藤木氏と自民党との繋がりの強さを強く感じさせる表現にも思えます。

横浜市選出の、小此木八郎元国家公安委員長のお父様の小此木彦三郎議員と懇意の仲だったことは、すごく頷けますね。小此木彦三郎氏は、第二次中曽根内閣で通産大臣、竹下内閣では建設大臣を歴任しています。地元有力企業が政権与党にすり寄るのは、自明の理ですからね。

安倍前総理の言葉を借りれば「美しい横浜を守る」ことが、藤木氏の根底にある思いなのでしょう。「美しい」という言葉は、捉え方によって、見る角度によって随分違った意味になってくることは、安倍前総理の表現で学びましたが、藤木氏の言う「美しい」と、おそらく市民連合が抱く「美しい」とは、違う景色になっているように思えますね。

ただ自民党とは、「美しい」という言葉を通して、同じ風景を共有しているのでしょう。

「美しい横浜」=「再開発」

藤木氏にとっての「美しい横浜」構想には、カジノ誘致は入っていないようです。ギャンブル依存症という言葉から、ギャンブル場があることでの風紀の乱れは、藤木氏にとっては、決して「美しい」ものではなかったのですね。

この1点だけは、市民連合と思惑が合致したのです。ここで、今まで相見えなかった野党勢力が、「ハマのドン」と手を握ることができたのです。

カジノ誘致問題が勃発

林文子市長は、意図せずして「虎のしっぽ」を踏んでしまったのですね。「俺の目の黒いうちは、カジノなんか誘致させない…」。林文子市長は、横浜市財政再建をカジノに託したのですが、その背景に菅首相の思惑があったのかどうかはわかりません。

東京が、お台場カジノ構想を前に進める動きが鈍くなってきていたこともあり、タイミングも合って、関東圏のカジノを横浜みなとみらい地区に誘致しようとする動きが、出てきたのでしょう。

藤木氏が「カジノ誘致をすすめる自民党議員は全員落とす」と息巻いていた頃は、横浜進出を狙っていたカジノ大手のラスベガス・サンズが撤退を表明し、IR汚職で逮捕・起訴された秋元司衆院議員は証人買収事件を起こし、再逮捕・追起訴されるなど、IRを取り巻く環境は激変していました。

Next: 菅総理はカジノ誘致を諦めた?野党の候補者選びにも大きな思惑

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