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カジノ誘致で再び波乱「横浜市長選」が握る菅政権の命運。秋の衆院選を占う試金石に=原彰宏

テクニックが勝敗を分ける日本の選挙

終わった東京都議選挙でも、オリンピック中止がどうのとかコロナ対策がどうとかで、肝心の、与党は東京をどうしてきたかの検証、これから東京都をどのような都市にしていくのかという未来ビジョンは一切語られませんでした。東京五輪後の東京をどうするのか、将来のビジョンで議員を選ぶ選挙になっていなかったことに絶望感を感じました。

東京都知事選挙も同じです。小池都政の過去の検証、通信簿チェックは一切なされませんでした。こんなのは、選挙でもなんでもありません。

横浜市長選挙だけは、せめて「横浜の未来をどうするのか」を真剣に考えられる人を選ぶ選挙にしてほしいです。

大勢立候補している人の中には、まさかいないとは思いますが、ただただ大都市の首長になりたいとか、大都市の権力を握りたいとかで立候補している人はいないと思いますが、もしそのような片鱗が少しでも見える候補者がいるとしたなら、その人には投票しないでおきましょうね。

それが選挙です。

組織票 vs 市民運動

郷原信郎氏は、「ハマのドン」藤木幸夫氏に対しても、菅支配の恩恵を受けていると指摘しています。カジノ以外にも、自民党土建支配のもとに箱物行政が進められてきました。

藤木幸夫氏の協力を仰ぐのか敵対するのかで、選挙戦は大きく変わってきます。

カジノ誘致を真ん中に据えて「vs 林文子市長」の構図となれば、藤木氏と手を携えて地上戦やら空中戦やらなんでもできますが、藤木幸夫氏に自民党支援の選択肢が増える、つまり「反カジノ」の小此木氏支持に回れば、一転「小此木 vs 野党候補」という構図となります。

その場合、「藤木・小此木 vs 市民運動・野党」という構図になるのでしょう。

この場合、林文子市長は一気に泡沫候補となってしまいそうですね。

そうなると野党共闘がどれだけ進むか、ただただ「反カジノ」の漁夫の利で、あわよくば大都市の首長になれるかもと思っていた候補者は脱落するでしょうから、完全に国政選挙前哨戦が始まることになります。

そこで注目されるのは「組織票 vs 市民運動」です。

組織票の選挙は、もう選挙ではありません。1票は、意志を反映しないタダの「票」です。国政での組織票(タダの「票」)なんて、国会に「頭数」の1つを送りこむだけの機械に過ぎないのです。でも、タダの「票」でも、膨大に集まれば、それはそれで「民意」と見なされます。

一方、市民運動は、みんなの“意志”や“思い”を拾い集めて「票」にします。実に手間や時間がかかる面倒なものですが、本来の選挙の形であり、貴重な「1票」になると思います。

国政での地方選挙区では、地方の利益優先から最初から戦いにはならないところもありますが、横浜市のような大都市や無党派層の多いところでは、市民運動は、組織票に十分に対抗できる勢力になるはずです。

国政選挙前哨戦という要素から見れば、これで本当の「民意」がわかるというものです。

ましてや争点が郷原信郎氏が言う「菅支配からの脱却」であるなら、まさに前哨戦としては最高のサンプリングとなります。

野党共闘も試されます。

広島の選挙(参院補欠・再選挙)では連合の力が強く、舞台の上に立憲民主党の議員と共産党の議員が一緒に立つことを許しませんでした。

横浜では、山中候補演説会の舞台には、立憲民主党議員と共産党議員が、テーブルを並べて座っていました。同じ壇上に立っていたのです。

池田純氏の言葉ですが「偉い人の『しがらみ』と『保身』と『面子』。そして『民意無視』。どうせオリンピック後には忘れるだろうという『国民軽視』」と書かれています。

「政治を国民の手に取り戻そう」。こんなことを声高に言わなければならない国に、なってしまったのですかね。

マスコミや政治評論家は、テクニックの面から横浜市長選挙を見ていると思います。そのほうが面白いのでしょう。

立憲民主党が郷原信郎氏の提案をどう受け止めるのか、それで横浜市長選挙の意義や行方が決まりそうですね。

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