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山本太郎「れいわニューディール」は日本を救うか?メロリン給付金1人60万円は熱意だけでは配れない=原彰宏

社会保険料負担軽減

コロナ対策として、社会保険料の3ヶ月間免除を訴えていますが、コロナ後においても、社会保険料負担に累進性をもたせて、所得に応じた負担に制度を変えることを提案しています。

可処分所得を増やそうというものでしょう。

社会保険料は、所得が増えても上限設定があり、超高所得者の負担感は軽く感じられますが、低所得者層の社会保険料の負担感は、消費税よりも大きく感じると思います。

税計算においては、扶養家族の有無や人数、生命保険契約や地震保険契約の有無、火事などの特別損失等の状況を鑑みて算出されます。「所得控除」という、税金計算から除外する枠というものがあります。

ところが社会保険料を算出するにおいては、そのような家庭の事情は一切考慮されません。収入額のみで自動的に計算されます。

給与所得者は、毎月の給料から天引きされるので、あまり負担感を感じていないのでしょうが、かなりの保険料が天引きされているのには、きっと驚くでしょう。

給料の額面と手取り額とのギャップを見れば、よくわかると思います。

れいわ新選組の社会保険料負担軽減は個人を想定していると思われますが、個人事業主や中小企業にとっての社会保険料負担も重く、社会保険料倒産というものも現実にはあります。

あくまでも想像ですが、医療や年金という恩恵の大きい制度維持のための保険料なだけに、なかなか社会保険料軽減という議論には至らないのかもしれませんね。

ただ制度維持のためには、社会保険料軽減策は財源不足となりますので、そのために、れいわ新選組は、社会保障制度への国費投入を倍にするとしています。

ここでの「国費」とは、おそらく税金ではなく国債だと思われます。

2018年度の社会保障給付費内訳は、厚生労働省の資料によれば総額約117.2兆円となっていて、そのうち保険料負担が70.2兆円の約60%、残りの40%が公費負担46.9兆円となります。

公費負担は、地方税負担が13.8兆円、いわゆる国費と言われる国庫負担は33.1兆円の28.2%になります。

国費は税金と赤字国債です。

制度設計に置いて、保険料と税金で社会保障を賄うということは、全額国民負担ということになって、その場合、給付額が大きく制限されてしまいます。

赤字国債で賄うことで、国民負担よりも多い給付額が見込めるようになっています。

れいわ新選組は、この赤字国債発行枠を大きく広げることで、税負担や社会保険料負担を増やさずに、社会保障における給付金を増やし維持できるとしています。

全国一律最低賃金1,500円

厚生労働省ホームページ資料によれば、令和3年度地域別最低賃金における全国加重平均額は「930円」となっています。

都道府県別で最も高いところは東京都で「1,041円」、最も低いところは高知県と沖縄県で「820円」となっています。

これを、全国一律「1,500円」にすると言うのです。そのために中小企業には政府が補償するとしています。これは果たして実現可能なのでしょうか。

現実と公約との数字に、あまりの開きがあることは事実です。一方で、日本の最低賃金が低すぎるという批判があることも事実です。

具体的な数字を出す際に、現実からと理想からとのアプローチにより、実現可能と思われる数字をはじき出すのでしょうが、その金額が適正かということと実現可能かということは、おそらく区別して考えなければいけないのでしょう。

ここでも、直接中小企業に対して、最低賃金を引き上げるための補償を行うことを公約としています。

どれだけお金が必要になるのでしょうね。

この他、多岐にわたって様々な政策を掲げていますが、全体的に言えるのは、全国民まんべんなく手厚く保護する、いわゆる「大盤振る舞い」の印象です。

「消費税廃止」「社会保険料負担軽減」「全国一律、最低賃金1500円」以外の政策は、こちらで見ることができます。
※参考:政策 | れいわ新選組

国民が求めるものは、なるべく叶えてあげる…。
今必要と思うものは、ケチらない…。

この思いは理解はできますが、歴史的に見ればこのような政策は「ポピュリズム」と言われ、その言葉の裏側には「実現不可能」という意味合いも込められてきました。

また、「ポピュリズム」という響きには「財政破綻で国を滅ぼす」というイメージもついてくるようです。

ただ、れいわ新選組のアピールには、財政の裏付けに基づいた政策だという自負があるように思えます。政策メッセージを受け取る国民側はともかく、メッセージを発する彼らには、政策の裏付けとなる財源が確保できる自信があるように思えるのです。

はたして、その裏付けとは何なのでしょう…。

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