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山本太郎「れいわニューディール」は日本を救うか?メロリン給付金1人60万円は熱意だけでは配れない=原彰宏

報道は自民総裁選一色で、野党の存在が希薄化しています。野党4党は結託して戦うとしていますが、果たしてまとまるのでしょうか?今回はこの野党連合に参加を決めた「れいわ新選組」の公約として注目されている“れいわニューディール”について掘り下げたいと思います。1人20万円×3ヵ月のメロリン給付金、本当にもらえるなら嬉しいですが、実現可能なのでしょうか?(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

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野党共闘で政権交代を目指すが…

突然の菅総理「自民党総裁選不出馬」宣言(実質の退陣)により、日本は政局一色となりました。

「マスコミジャック」という言葉が飛び交うくらいに、テレビ報道番組や新聞紙面は「次の自民党総裁は誰になるのか」ばかりを報じていて、自民党側からすれば絶好の「広告」となっています。野党の存在は、ますます薄れるばかりです。

そんな自民党に対抗するには、野党がイデオロギーの枠を超えて1つにまとまる以外に、今の小選挙区制度では与党には勝てないでしょう。

そんな中で、市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は8日、野党共闘を呼びかけて動きました。立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党との間で、次期衆院選の共通政策で合意しました。

調印式には、立憲民主党の枝野幸男代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首、れいわ新選組の山本太郎代表が出席しました。

「市民連合」を介して野党が結束して衆院選に臨むのは初めてのことですが、裏を返せば、市民連合を介さなければ野党は結束できなかったということにもなりますね。

各党のイデオロギーとか支持母体の事情とかが野党結束の障害となっているのでしょうが、与党を倒すという大義の前において、それらはそんなに重要なものなのでしょうか。

国民民主党は “原発のない” や “安保法制の違憲部分の撤回” の表現に党内に異論があるため、8日の調印式には玉木雄一郎代表が参加しないことになりました。彼らの支持母体に配慮した行動とも見て取れます。

与党も野党もですが、日本の未来を憂うという大望よりも、自身が選挙に勝つことのほうが重要だとしているところが透けて見えるところに、政治家としての資質を疑ってしまいますね。

確かに選挙に勝たなければ国を動かすことはできないかもしれませんが、国会議員である前に、(信念のある)政治家であるべきではと思ってしまいます。

そんな中で共産党は、自らの錦の旗を降ろしてまでも野党共闘を実現しようとしています。

共産党は「とにかく自公政権を倒す」、そのためには「連立政権」でなくても良いという「野党連合政府」を訴えました。

共産党が掲げる「天皇制廃止」や「日米安保破棄」の訴えでは、他野党は連立は組めないことを理解した上で、とにかく今の自公政権を倒して政権交代を実現させるという一点に焦点を合わせて、自党のイデオロギーを譲歩してでも、野党を1つにまとめようとしています。

もちろん、共産党にとっても自党勢力拡大は重要で、比例区で票を得るには小選挙区にも候補者を立てる必要はあり、これから野党間での選挙区調整は行われるのでしょう。
しかし大きな枠組みとして、「自公政権を倒す」ために野党はまとまるべきだという思いを、各野党が共有したうえでの「野党共闘」なのだと、そう思いたいですね。

選挙後の政権において「共産党とは連立を組まない」という立憲民主党枝野代表の言葉はそのとおりで、「野党連立」ではなく「野党連合」であることが、すべての出発点になると言えるようです。

野党連合は、今回の衆議院選挙で政権交代を目指すのでしょうが、たとえ政権交代が叶わなくても、来年の参議院選挙で与野党逆転を実現して「ねじれ国会」を作ることができれば、与党の政権運営に緊張感をもたせることができます。

その上で、その次の総選挙で政権交代を実現させるシナリオは、きっと描いているのだと思われます。

政治の劣化、官僚の忖度が問題とされてきましたが、それはひとえに、与党による衆参安定多数状況が続き、政権交代が起こらないという緊張感のなさによるものだと思われます。

政治を正常に戻す上でも、国会において与野党勢力が伯仲していることが重要で、そのことで政権運営に緊張感が生まれることは望ましいことだと思います。

「れいわ新選組」合流に驚き

そういう意味で、今回の市民連合を介しての野党共闘で、れいわ新選組が参加したことには驚きました。

最後まで立憲民主党との選挙協力に難色を示していた山本代表ですが、こだわっていた「消費税廃止」の旗を「減税」に書き換えて、消費税廃止に反対、むしろ増税もやむなしという意見がある立憲民主党が、期限付きではあれ、現消費税率を5%にまで引き下げることに同意したことを評価して、野党共闘に歩み寄ったことには驚きました。

もし、れいわ新選組だけが独自に衆院選挙を戦えば、野党支持票は割れることになり、それは、結果として自公政権を利することになります。

そこで、この野党共闘に応じた、代表のキャラクターの強さからでも注目されているれいわ新選組に関して、一見すると国民に優しいとも取れる政策について、その実現性も含めて、深く掘り下げてみたいと思います。

れいわニューディールは期待できるのか。実行可能か、それとも単なるポピュリズムなのかを、深堀りしてみましょう。

Next: メロリン給付金1人60万円ほか「れいわニューディール」の中身は?

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