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山本太郎「れいわニューディール」は日本を救うか?メロリン給付金1人60万円は熱意だけでは配れない=原彰宏

国債を発行して政策を実現しよう

れいわ新選組の財源、政策実現のためのお金の話はホームページに載っています。

いわゆる「MMT理論」と言われるもののようですが、山本太郎代表は、自身の演説などでも「MMT理論」という言葉は使っていませんね。これにはなにか特別な意図があるのでしょうか。

国債発行で国は資金を調達して、それで国民サービスを充実させる…。

その前提は、国が国債発行し続けても、国は破綻しないという証が必要になります。インフレになったらどうするのかという懸念もあるようです。れいわ新選組は、国家破綻は起きないし、インフレにはならないと断言しています。自国通貨建ての国債(借金)を返すのに、日本銀行は通貨を発行することができるから破綻のしようがないと主張しています。無尽蔵に永遠に国債を発行し続けるわけではないので、インフレにならない程度に調整するとしています。

難しい理論は置いておいて、事実を確認すると、たしかに、これだけ日本は、稼ぐ力(GDP)以上の歳出があるにも関わらず国家破綻をすることもなく、その歳出を毎年国債発行で賄っているにも関わらず、インフレにはなってはいませんね。

むしろデフレのままと言っても過言ではないでしょう。

山本代表は「MMT理論」とは言っていませんが、世界の「MMT理論」を推進する人たちは、この日本の状態を例に出して「日本を見ろ、なんともないじゃないか」として、「MMT理論」の正しさを強調しています。あらら、これは喜ばしいことなのか恥ずかしいことなのか…。

れいわ新選組はホームページで、コロナ緊急対策を実行するために「国債発行(通貨発行)により、初年度200兆円規模、翌年から100兆円規模の大胆な支出を行っても、財政破綻などは起きません。インフレ率は2?3%以内に収まります。」と表現しています。

ただ、何事もやりすぎはよくないもので、過度の国債発行はインフレは起こします。それはれいわ新選組の説明でも「インフレは起こる」としています。

そう注意を促したあとで「需要が供給能力を超えるまで、インフレ目標に達するまでは、国債発行で大胆な政府支出が可能です。現在の日銀と政府が掲げるインフレ目標は『2%』です。私たちとしては、インフレ目標は3%~5%で良いと考えますが、現在の2%の目標であっても、大胆な政府支出は可能です…」と表現しています。

れいわ新選組のホームページでは、「インフレ調整の税の役割」を説明しています。

経済が良くなって、需要が供給を上回れば「インフレ」になります。「ディマンド・プル」と呼ばれる「良いインフレ」です。自然なインフレとも取れますね。

インフレが行き過ぎたら、世の中に出回ったお金を回収することでインフレを調整する、この回収の手段が「徴税」であるとしています。

ホームページでは「お金を間引く」という表現を使っていますが、インフレが進んで調整が必要になれば、国民から税金を取るというのです。

ここを、れいわ新選組は、「国民から」とは言わずに「お金持ちから」と表現していますね。れいわ新選組は、法人税にも「累進性」を導入する、つまり儲かった金額に応じて税率を引き上げるというもので、現在、所得税で行われているものです。所得税の累進性も強化すると言っています。つまり、所得の多い人の税率を引き上げるというものです。

インフレになるまで国債を発行することができ、「徴税」によりインフレを調整するとしています。だから極端なインフレになるまでは国債を発行しても大丈夫という論理です。

「国の政策は国債で行う」。これがれいわ新選組のスタンスのようです。

今までの政策は「国の政策は税収で行う」というものです。

この立場で考えると、やはり、財政は健全化するほうが望ましいですね。プライマリーバランスは改善しなければなりません。そのためには国民は増税も受け入れなければならないですし、国民サービスに関しても、ある程度は我慢しなければなりません。そうしないと国家における財政(収支バランス)は保てなくなります。

プライマリーバランス黒字化ということは、国債を発行しなくても国の歳出を賄うことができるということですから、税収を大きく増やすか、歳出をカットするかしか方法はありません。

「国の政策は国債で行う」という立場にたてば、プライマリーバランスを黒字化する必要はなく、そのために、国民はサービスを受けることに我慢をすることはないと言っています。MMT理論では、このことを強く表現しています

理屈はわかりましたが、果たして理論通りになるのでしょうか。

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