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岸田政権お前もか。竹中平蔵氏「デジタル田園都市構想」参画の波紋。マイナンバー頼みで目新しい政策なし=原彰宏

地方活性化を目指すデジタル社会構想会議

人口急減地域への支援強化、東京一極集中の是正に取り組む…。

首相と全閣僚で構成する「デジタル社会推進会議」や有識者会議「デジタル社会構想会議」など、デジタル社会の形成に向けた国の関連会議がそれぞれの役割を果たし、「デジタル田園都市」というものが、日本のそれぞれの地方で実装されていくことになるとしています。

昨年9月、平井担当大臣のもと「デジタル社会構想会議」を立ち上げました。

慶応義塾大学の村井純教授が座長を務めた構想会議は、有識者12人で構成、Zホールディングスの川邊健太郎社長、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長、慶応大大学院政策・メディア研究科の夏野剛特別招聘教授らが参加しました。

昨年会合では、マイナンバーカードを生かした利便性の高い行政サービスの実現のほか、産業全体のデジタル化と、それを支えるインフラ整備を進める方針なども確認したとのことでした。

成長戦略の柱の一つなので、デジタル整備のためのインフラ設備に大きな予算を充てて、産業を活性化する狙いもあるのでしょう。

具体的には、5G網の整備に加え、インターネット用サーバーなどを集めた「データセンター」の設置、人工知能(AI)などを活用した最先端都市「スーパーシティ」の導入などを通じ、地方のデジタル化を進めるとしています。

政府は「デジタル実装加速化交付金」の創設などで、これらを後押ししたい考えだとしています。

デジタルデバイト(情報格差)の解消

誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を……岸田総理が掲げるデジタル庁のミッションで、デジタルデバイド(情報格差)を解消し、全国津々浦々にデジタル化の恩恵を行き渡らせるための道筋を示すのだそうです。

デジタルデバイド(digital divide)とは、コンピュータやインターネットなどの情報技術(IT:Information Technology)を利用したり使いこなしたりできる人と、そうでない人の間に生じる、貧富や機会、社会的地位などの格差のことを言います。

コンピュータや通信ネットワークは、いまや職場や日常生活に深く入り込んでいて、それを活用できる者はより豊かで便利な生活や高い職業的、社会的地位を獲得できるのですが、情報技術の恩恵を受けられない人々は社会から阻害され、より困難な状況に追い込まれてしまうというのが現実にあります。

格差発生には様々な要因があり、以下などが挙げられます。

個人間:集団間:年齢・学歴・収入などの違いにより生まれる格差
国際間:先進国や発展途上国での国家間格差
地域間:都市部と地方部ということで生じる格差

問題は、情報技術の恩恵を受けられない「理由」にあります。「環境」と言い変えても良いでしょう。

たとえば「個人間・集団間」における年齢の問題。中高年や高齢者が新たにコンピュータの操作法などを覚えるのは困難な人が多いということです。

もちろんいまや高齢者のYouTuberもいるわけで、ネットがかなりフレンドリーな高齢者も増えてはきていますが、それでもやはり、少なからずもネットそのものを生活習慣に取り入れることに抵抗感があることが少なくない高齢者もいるということです。

深刻なのは、貧困のために情報機器の購入が困難だったり、身体機能の障害により機器の操作が困難だったり、情報技術の恩恵を受けられない場合があります。

  • 地域や国家の単位での通信インフラの普及度合い
  • 情報機器を購入できる所得水準か否か
  • 技術の習得・利用の前提となる十分な教育が受けられるかどうか
  • インフラ整備や技術・機器の導入・教育を担う技術者などの人材が十分にいるか

などなど、地域ごと、国家ごとに格差が生じることもあります。

格差が生じる結果、デジタル知識がない層の孤立化があります。外部との情報手段が持てないということも考えられます。

デジタル知識が収入格差を生むことにもなります。DXの遅れは、企業の収益性にも影響があり、労働生産性の低下にも繋がります。セキュリティリスクも考えられます。

元々豊かな先進国や大都市が情報技術でさらに発展したり豊かになる一方、情報技術に十分アクセスできない発展途上国や農村部などが貧しいまま取り残されるという、格差の拡大・固定化の問題があるとされています。

岸田内閣では、このデジタルデバイト(情報格差)解消に取り組むとしているのです。お手並み拝見です。

Next: 牧島かれんデジタル相からは目新しい政策が出てこない

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