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貧困が引き金に。いま若い女性と児童・学生の「自殺」が増えているワケ。シングルマザー救済こそが日本の課題=原彰宏

女性の自殺者が増えている

前述の通り、自殺者の年齢別では2019年から2020年にかけて増えているのが「20歳から29歳」の年齢層です。

気になるのは、この年齢層の自殺者には「女性の方が多い」ということです。

2021年に閣議決定した「自殺対策白書」では、職についている女性の2020年の自殺者数は1,698人で、2019年までの5年間の平均と比べて3割近く増加したとあります。

なぜ女性に自殺者が多く出たのか…。

新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食・サービス業など、女性が多い非正規労働者の雇用環境が悪化したことが影響したとみられています。

2020年の自殺者数を新型コロナ感染を意識してみますと、年前半は例年より少なく、後半に増加しています。緊急事態宣言中の4月は前年より300人以上少なかった一方、感染が落ち着いていた10月は700人近く多かったようです。

必ずしも、経済活動が抑制される感染拡大期に増加しているわけではないですが、それは、じわじわと雇用に影響をもたらすのにタイムラグが生じているだけではないでしょうか。10月は無職女性の増加が目立ったようです。

新型コロナウイルスが破壊した労働環境、雇用の影響が出ているのではないでしょうかね。

動機別では「うつ病」など精神疾患を含む健康問題が多かったようですが、表面的なことではなく、経済や生活の問題など他の要因が精神疾患に発展するケースも多く、厚生労働省は要因を複合的に見るよう指摘しているのは当然のことでしょう。

児童・学生の自殺が増えている

もっと恐ろしいのは、2020年は児童・生徒の自殺者数が499人で過去最多となったということです。

3月の一斉休校の要請直後には大きく減少したものの、学校が再開した6月に一転して急増し、夏休み明けの9月にも増加が見られました。11月も大きく増加しています。

長期休暇明けの子どもの自殺は、かねてより社会問題になっていました。

学校の一斉休校は、思わぬところで“罪深い”ものになっているようです。ものごとを、一方向だけで見てはいけないですね。

就職や進路の相談時期と増加時期が重なっていることもあり、将来への不安などが自殺者増に関係している可能性があるとも言えます。

「自殺対策白書」にある自殺した女性の職業を見てみますと、一番多かったのが「事務員」、次いで「その他サービス職」、さらに「販売員」「医療・保健従事者」「その他の専門・技術職」と続いています。

Next: 貧しさが自殺に直結する。シングルマザーの貧困問題がより深刻に

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