若者の自殺者数は増える傾向
自殺者に話を戻しますが、全体的に減ってはいるものの、年齢別では2019年から2020年にかけて増えているのが「20歳から29歳」の年齢層です。
生活苦がどうも透けて見えます。非正規雇用者も多いでしょうし、フリーターも多くいそうですからね。
特に、20歳未満は近年、上昇傾向にあるようです。
若い世代(10代〜20代)で死因の第1位が「自殺」となっているのは、先進国(G7)では日本のみです。
圧倒的に多い「無職」の自殺者
職業別で自殺者を分析すれば、圧倒的に「無職」者が多く、被雇用者が次にきて、自営業者は3番目に多くなっています。
2006年のデータになっていますが、無職者の自殺者数は1万5,412人、被雇用者では8,163人、自営業者で3,567人となっています。自営業者の倍の数になっているのが被雇用者、そのさらに倍が無職者という状況です。
自殺と経済、自殺と景気、自殺と雇用……これに若者の貧困をかけ合わせると、どのようなことが想像できますか。
自殺者を減らすには、経済が良くなければならない、景気が良くなければならないというのは、当たり前にわかっていることですが、それでもこういうふうに数字で見せつけられると、かなり深刻さが伝わってきますね。
経済苦が自殺に直結する
当メルマガではここまでいくつかの「日本の課題」を取り上げてきましたが、何十年も成長していない日本経済と、完全失業率は改善されていても一向に上がらない最低賃金が、日本人の生命を奪っているということに、愕然としてしまいます。
若者に未来の希望はあるのでしょうか。
世界ではずっと経済が成長していて、最低賃金も上がっている中で、日本だけが低成長で低賃金を維持し続けているというのは、やはり日本の政治に大きな問題があると言わざるを得ません。
それを、私たち日本人はどこまで理解し、自分ごととして捉えているのでしょうか…。
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