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ようやく不妊治療「保険適用」も家計と身体の負担が減らないワケ。“混合診療”禁止に落とし穴=原彰宏

不妊治療最前線は?

・今や14人に1人は体外受精で産まれている
・5.5組に1組が不妊治療をしている

2019年に体外受精で生まれた子どもは過去最多の6万598人だったことが、日本産科婦人科学会のまとめでわかったと、朝日新聞digital「医療サイト朝日アピタル」は伝えています。

※参考:体外受精児、14人に1人 2019年は過去最多6万598人が誕生:朝日新聞デジタル(2021年9月17日配信)

記事によれば、体外受精で産まれた子どもの数は、2019年では前年よりも3,619人増加して86万5,239人になったとのことです。

2019年の体外受精の治療件数は、45万8,101件(前年比3,208件増)で過去最多だったそうです。年齢別では、40歳が3万8,221件で最も多く、39歳、41歳と続いたとあります。

日本産婦人科学会によると、初めて出産する35歳以上の人を高齢初産婦とされ、一般的には35歳以上の妊婦が初めて出産することを「高齢出産」とし、初産婦35歳以上、経産婦40歳以上の妊娠を「高齢妊娠」としています。

厚生労働省の調査によれば、「高齢出産」は1990年代には出産数全体の数%でしたが、2010年には20%台、2019年には約30%になり、3~4人に1人は「高齢出産」となっているそうです。

不妊治療が保険適用でない自由診療であったころは、その治療費が高額になることから国としては、上限30万円の助成金を出す制度を設けていました。

年齢制限や回数制限はありますが、不妊に悩んでいる方への経済援助としての制度として、地方自治体を窓口とする「特定不妊治療費助成」制度がありました。

ただし、4月より不妊治療が保険適用となったことから、この助成制度は4月以降は受けられなくなりました。

「不妊に悩む方への特定治療支援事業」についての厚生労働省ホームページです。ここにはこの支援が受けられる“条件”が記載されていますが、この条件が、保険適用になる条件へとそのまま引き継がれているのです。
※参考:不妊に悩む夫婦への支援について

なお「不妊治療の保険適用」に関するリーフレットもあります。上記、特定治療支援事業の内容と見比べてみてください。

43歳未満、通算6回まで

不妊治療が保険適用となるには、治療開始時年齢が年齢43歳未満であることが条件です。

「6回」というのは治療回数制限のことで、治療開始年齢が40歳未満であれば6回、40歳から43歳未満で治療を開始すれば3回までという、保険適用になる回数が決まっています。

また、不妊治療は人によってその内容は異なります。「その人にあった治療方法」が強く求められるもので、中には、保険治療だけでは対応できない人もいます。

「混合診療」という、保険適用の治療と自由診療を同時に行う場合があります。

その場合は保険診療部分も自由診療とみなされる、つまり、治療行為すべてが自由診療扱いとなります。

Next: 患者の負担増につながる?議論を呼ぶ「混合診療の解禁」

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