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円・日本国債の大暴落は不可避。黒田総裁の悪手で「日銀債務超過」待ったなし=吉田繁治

米国FRBは物価上昇を見過ごしていた非を認め、金利を上げることを決定しました。一方、黒田日銀総裁は日本の物価上昇は一時的であるとし、金利を上げることを拒み、円の暴落を招いています。なぜ日銀は頑なに金利を上げることを拒むのか?出口なき黒田バズーカーの乱発が招いた逃げ道のない円と国債暴落の今後のシナリオを見ていきます。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2022年7月13日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

世帯所得が低下。物価を上げられない日本企業

輸入物価は40%、企業物価は約10%上がっていますが、価格転嫁は米国の1年遅れであり、日本の物価上昇はまだ2%台です。価格転嫁が遅れている理由は、世帯所得の増加がなく(米国は5%)、企業が値上げを躊躇し、先送りにしているからです。

米国の企業では、時間賃金が5.5%は上がっているので、原材料の高騰を、即刻販売価格に転嫁しなければ赤字になります。2022年4月の平均時給は31.85ドル(4,300円:平均月収69万円)と、日本の約3倍です。生産性も3倍、時間賃金も3倍です。日本は、1998年から、非正規が女性は54%に、男性は22%に増えて平均賃金は下がっています。男女の正規雇用の割合は63%、非正規が37%です。

非正規雇用では、8時間(年間2,000時間)働いても、年収250万円であり(月間21万円)、結婚と子育ての維持は難しい賃金でしょう。年収が220万円程度の年金世帯も2,532万世帯。全世帯5,042万の50.2%を占めています。

日本の実質賃金はまだまだ下がる

・公的年金の総額は58.5兆円(1世帯平均231万円:2022年)
・医療保険費は40.7兆円(1世帯平均81万円)です。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202204_00.pdf

公的年金(58.5兆円)、医療費(40.7兆円)、介護・福祉費(30.5兆円)合計では129兆円に膨らんだ社会保障費は、2050年まで増え続けます。現在の、129兆円の財源は、保険料72.4兆円、地方税15.6兆円、国債発行他41.0兆円です。

財政が破産に向かうもっとも大きな原因は、GDPと税収が増えない中で、社会保障費の国庫負担が41.0兆円に膨らみ、この国庫負担があと30年、増えていくことです。

他方、世帯では、賃金が200万円台と低い非正規雇用が37%、同じく200万円台の年収世帯が50%です。この条件で「2%から3%物価が上がれば、名目消費額は増える」とは言えないのが、日本の社会です。

物価上昇率を引いた実質賃金は-2%から-3%になるからです。このため、企業は、「必要な値上げ」を躊躇し、先に延ばしています。

賃金が日本の3倍高く、しかも平均で5.5%上がっている米国と、賃金水準が米国の1/3で、しかも1%程度しか上がっていない日本は、横比較はできない、別の社会でしょう。

Next: 日本の物価上昇を日銀が頑なに認めぬ理由

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