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Amazon、1万人規模のリストラ判明。その裏で創業者は17兆円超の私財を“人類の結束のため”寄付で「従業員は結束外か?」との声が噴出

いわゆるGAFAの一角でもあるアマゾン・ドット・コムが、約1万人規模の従業員削減を計画していると、ニューヨーク・タイムズなど複数の米メディアが報じているようだ。

報道によると、削減の対象となるのは小売りや人事、端末部門を中心に、事務職や技術職の従業員だといい、音声アシスタント「アレクサ」を手がける部門も対象になるとのこと。早ければ、週内にも人員整理を始めるという。

アフターコロナで経済の正常化が進むなか、ネット通販は減速が鮮明となり、また同社のもうひとつの柱であるクラウドサービスのほうも、ここに来て拡大ペースが鈍っているとのこと。そのいっぽうで、物流費やエネルギー価格の上昇、さらに人件費の負担がかさむなど、事業環境の悪化が取沙汰されていたという。

アップルも研究開発部門以外の採用を停止中

利上げ継続による景気後退もあり「普通でない経済環境に直面している」と、今月の頭には従業員の採用を数か月間凍結すると明らかにしていたものの、それから時を置かずして、より大胆な雇用調整を実施せざるえない状況となったアマゾン。

このところは名だたる世界的テック企業の間で従業員削減が相次いでおり、つい先日にはFacebookなどを運営するメタが、会社全体の約13%にあたる社員1万1,000人を解雇すると、マーク・ザッカーバーグCEOが発表したばかり。さらに大手ライドシェアのリフトでは、全従業員の13%にあたる約700人が解雇されたほか、フィンテック大手のストライプも全従業員の14%大規模な人員削減を行っている。

くわえて、今月頭に社員の約50%に当たる3,700人を解雇したことが大いに取沙汰されたツイッターだが、今週になって約5,500人在籍しているという契約社員に関しても、4,400人が対象としたクビ切りをなんと予告なしで行ったと報じられ、再びの大騒ぎとなっているところだ。

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メタやアマゾンといった世界を席巻していたアメリカの巨大IT企業が、ここに来て相次いで従業員削減に踏み切ったことに、SNS上では驚きの声があがるとともに、「次はYouTubeかな?」「グーグルあたりが来るか…」といった、人員整理の動きが今後より広がるのではといった見方もあがっているところ。

実際、iPhoneなどの確固とした収益源を持ち、GAFAのなかでも堅調な経営が続いていたとされるアップルでさえも、昨今はドル高の影響が顕著ということもあり、今月に入って研究開発以外の部門において、採用を停止したとの報道がなされたばかり。

さらに今回報じられたアマゾンにしても、先に公表された採用凍結に関して、年末商戦の繁忙期を控えた物流施設は対象外としていたものの、今回の報道では最終的な解雇の規模については「流動的」とされている。それだけに、人員整理の他社への波及はもちろんのことだが、同じ企業内でも第2弾、第3弾のリストラといった動きが今後出てくることも、大いに考えられるところだ。

創業者・ベゾス氏の巨額寄付に冷ややかな視線も

このように大規模な従業員削減という激震が走ったアマゾンだが、時をほぼ同じくして伝えられたのが、同社の創設者のひとりで大富豪としても知られるジェフ・ベゾス氏が、1,240億ドル(約17兆円)にのぼる財産の大部分を、慈善活動に寄付すると表明したニュースだ。

ベゾス氏は今回の寄付を通じて、気候変動への対策と社会的・政治的に分断に直面する人類を結束させるために活動する人々を支援すると語っており、日本からも称賛の声が多くあがっているのだが、そのいっぽうでは「節税対策」といった冷ややかな見方も。

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今年9月にはアウトドア用品大手・パタゴニアの創業者であるイボン・シュイナード氏が、自身と家族が保有している30億ドル(およそ4,200億円相当)に及ぶ株式のすべてを、環境保護活動に取り組む団体などに寄付したと報じられたが、仮に通常の会社売却だった場合なら7億ドル超とされる税金を徴収されていたところを、このように寄付という形を取ることで、贈与税や相続税などの支払いの大部分を免れる格好に。

いっぽうでベゾス氏だが、2021年にアメリカの非営利報道機関が、独自入手した富裕層の納税記録をもとに暴露したところによると、07年に会社の株価が2倍以上になった際にも所得税をろくに払っていなかったり、子供のために4,000ドルの税控除を申請し、受け取っていたこともあるなど、蓄えた莫大な富の割にはほんの一部しか税金を払っていない実態が明らかとなっている。

このように、以前からこれだけ資産防衛に躍起なベゾス氏となれば、今回の寄付に関してもそういった性格が色濃いものとみられても仕方のないところ。それだけにSNS上からは「私財を寄付するんなら一部はクビにする従業員にあげたら」といった声、さらには「解雇された1万人は“結束外”なんか?」といった揶揄する声もあがっているところだ。

先のツイッターでの大量解雇の際には、いわゆる勝ち組と目されていた“キラキラ社員”と呼ばれるような向きも、大量にクビを切られたということで、SNS上からは僻み根性丸出しの「ざまぁ」との声が大いに飛び交ったのも記憶に新しいところ。とはいえ、今回のアマゾンを巡る報道を見るに、真の勝ち組はやはり一握りの資本家だけだということを、多くの人が改めて思い知らされることとなった格好だ。

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