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安倍政権の消費増税再延期と財政出動がもたらす「2018年の絶望」=吉田繁治

「アベノミクス」は科学か?イデオロギーか?

【異次元緩和の真の目的は債務比率の低下】

政府が2013年から金融緩和によるリフレ策をとった根本の理由は、「インフレで名目GDPを大きくして債務比率を減らすこと」でした。債務はインフレになると、名目額は同じでも実質額は減ります。

1000万円の借金は、2%で20年(≒50%)インフレが続けば、返済しなくても、実質額が500万円に半減します。
(注)金融資産額も、その価値が半減します

政府の債務(1212兆円:2016年3月末)は、年金と医療費の増加を主因に、年率で少なくとも2%(24兆円)、普通は3%(約36兆円)増加し続けます。
(注)2015年度、2016年度の政府債務の増加が21兆円/年と異常に少なくなっている理由は、国債の金利が1%以下と低く、1200兆円以上ある債務の利払い額が10兆円以下と少ないからです

低めの普通の金利(3%)に上がれば、利払い額は36兆円を超え、すぐに財政資金が不足して利払いができなくなります。これが財政破産です。企業も世帯も、借金の金利が払えないときが破産です。

【根本策の放棄】

乗数効果が低くなった中で、国債を増発して財政支出に乗りだす安倍政権は、「政府債務比率を減らすこと」という政策目的を放棄したことになります。

それとも乗数効果の低下という1990年代からの日本経済の事実を無視し、国債による財政支出を増やして名目GDPを上げ、政府債務比率を減らすというのなら、これも異次元緩和と同じように、誤ったマクロ経済政策になるのです。

安倍政権の経済政策は論理性がなくなってきました。目的に対する政策手段が誤っていたからです。

【2年間はいい。問題は2018年から】

7兆円から10兆円規模の財政出動が問題になるのは2016年、2017年ではない。株価も上がり名目GDPも増えます。あと2年はいいのです。問題は金利が上がってくる2018年です。安倍政権は2年先までしか見ていないと感じます。

当方は、もともと反政府の立場をとるものではありませんが、経済学的に考えると、現在の政府政策の誤りを指摘せざるを得なくなってしまったのです。

誤った政策をとった政権は、それを修正するために次の誤りを重ねるのでしょう。内閣官房参与の浜田宏一氏は、今も「これが国際標準の経済学」と言い続けています。『世界が日本をうらやむ日(2015年1月)』という本を書いているくらいです。その国際標準が変なのです。

経済理論でも、実行され実証されたとき想定結果が誤っていれば、理論に間違いがあったとしなければならない。

医学理論に基づく臨床治療がうまくいかないときは、医学理論に誤りがあるはずです。治験で効果の出ない医薬は、理論的な効能もないとしなければならない。科学はこの方法です。

経済学は科学ではないのか。科学でないなら、特定の主張をする思想的なイデオロギーです。


※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年6月1日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!

【関連】クルーグマンと浜田宏一氏の誤り~『2020年 世界経済の勝者と敗者』を読む=吉田繁治

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2016年6月1日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はマネーボイス編集部による

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