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半導体ブームで日米株価史上最高値…その後の展開は?「バブル」崩壊を含む3つのシナリオ=岩崎博充

<シナリオ1:エヌビディア=米国株が調整局面、日本株大暴落?>

失われた30年で最も多かったパターンだが、米国株が何らかの形で調整局面に入ったときに、それを上回る規模で日本の株価が下落するパターンだ。たとえば、エヌビディアのファンダメンタルズに疑念が生じて株価が10%下落、それに伴って米国市場全体も15%程度下落した場合、これまでのパターンでは日本株は20〜30%下落するパターンが多かった。

もっとも、エヌビディアの株価は、現在800ドルを伺うところまで高騰してきたが、来期の予想PER(株価収益率)はそれでも30倍台、最高でも50倍程度に過ぎない。株価の割高感を示す「PER」は、エヌビディアの場合、依然として割高というシグナルは出ていないわけだ。ちなみに、東京エレクトロンのPERも36倍程度(2月26日現在)。つまり、日米ともに半導体関連銘柄にはまだ高値警戒感は出ていないとも言える。

<シナリオ2:エヌビディアの株価がさらに上昇して、日本株も4万円台へ>

エヌビディアの堅調な決算発表以降、各証券会社のアナリストは目標株価を一斉に引き上げつつある。たとえば米大手のゴールドマン・サックスは2月5日に目標株価を800ドルに引き上げた。日本の楽天証券も今後6〜12ヶ月の目標株価を1,200ドルに引き上げている。

さらに、エヌビディアは株式を公開して以降、2000年6月27日に「株式分割」を2対1で実施しているが、これまで合計で5回の株式分割を行っている。株価が800ドルもしくは1,000ドルを超えてくれば、当然また株式分割への期待が膨らみ、投資家にとってもさらなる株価上昇の期待が出てくる。

エヌビディアが今後も順調に株価を上げていけば、半導体関連企業の多い日本市場では、日経平均株価がさらに上昇していくことになる。すでに日経平均で4万3,000円前後までの上昇を予想する証券会社も多い。

<シナリオ3:日銀の金利引き上げ、トランプ大統領再選、不透明な社会情勢で日米ともに株価暴落>

今後、エヌビディアや日本の半導体関連企業が順調に上昇していくためには、実は様々な弊害となる外部要因が控えている。たとえば、最大の懸念材料とも言えるのが米国の大統領選挙だ。トランプ大統領の再選によって、予測不能な社会となり、半導体市場にも微妙な影が忍び寄るかもしれない。半導体市場そのものには影響は少ないものの、トランプ政権の政策は、関税引き上げや減税政策、防衛費増大などインフレを招く政策が多いからだ。

日本の金融政策も、トランプ政権の誕生はドル高を招き、日本はマイナス金利解除から金利引上げと進むことが予想される。1ドル=170円台、180円台と円安が進んでいけば、日本の金利も上昇せざるを得なくなる。株式市場は、不透明な未来と金利の上昇を嫌う。どうしても株価は不安定になると言うわけだ。

Next: AI・半導体市場はどこまで拡大するのか?投資家が備えるべきこと

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