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半導体ブームで日米株価史上最高値…その後の展開は?「バブル」崩壊を含む3つのシナリオ=岩崎博充

AI・半導体市場はどこまで拡大するのか?

エヌビディアが順調に株価を押し上げていくための大切な条件があるとすれば、半導体市場全体の拡大とそのスピードだろう。今や半導体は生成AIだけではなく、EVや電化製品などに幅広く使われている。たとえばサッカーのボールの中に、AIチップが組み込まれてより正確なジャッジをしてくれる時代になっている。

その半導体だが、WSST(世界半導体統計)、そして米国の調査・助言企業である「ガートナー」によると、2024年の半導体世界市場は過去最大規模となり、5,883億6,400万ドル(約80兆円)となり、2ケタ成長になると予想している。その背景にあるのが、生成AIによる需要増によって、GPUやDRAMと呼ばれる半導体の需要増である。2030年には1兆ドルの市場規模が予想されている。

ちなみに、生成AIの市場規模は2030年には、2,110億ドルの世界需要が見込まれている(電子情報技術産業協会、JE ITA予測)。2023年の約20倍の市場規模になると予想されている。人工知能とは言え、その需要はやはり製造業が多く、産業界全体が生成AIを使った技術革新を遂げていくと予想されている。

世界のIT市場全体の市場規模が約13兆8,000億ドル(2023年)と言われているが、生成AIの市場規模の大きさもそれで理解できるかもしれない。要するに、新しい時代の新しい技術をいち早く開発に成功したエヌビディアが、現在の世界の株式市場を牽引しているといえる。その将来性だけを見れば、今後も株価はどんどん上がっていくように見える。

しかし、冒頭でも紹介したように株価というのは、あくまでも投資家の期待値であり、期待値が大きくなりすぎればバブルとなって崩壊する。かつて17世紀には、チューリップの球根でバブルが起きたが、バブルはその実態の有無を問わず崩壊する。生成AIはこれまでの経済をひっくり返す将来性があるとも言われるが、それと株式市場が急騰しすぎて暴落することとは関係のない話だ。バブルはやがて破裂する。

image by: yoshi0511 / Shutterstock.com
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年3月1日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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