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「土用の丑の日」うなぎ弁当に黄色ブドウ球菌、90代女性が死亡。恵方巻など“同じ日に同じ食べ物を皆で食べる”イベントが食中毒を誘因との見方も

横浜市内にある京急百貨店のうなぎ店で販売された「うなぎ弁当」などを食べた客140人以上が、嘔吐や下痢などの症状を訴えていた件で、そのうちの1人がその後死亡していたことが分かった。

報道によれば、問題が起きたのは同百貨店にあるうなぎ店「日本橋伊勢定 上大岡京急店」の売店で、土用の丑の日だった先週24日から、その翌日にかけて1,700個以上販売された商品。

28日午後8時時点で、これらを食べた147人が、嘔吐や下痢などを訴えており、このうち90代の女性一人が、因果関係は不明ながら、その後亡くなっていたという。

いっぽうで横浜市は、今回の食中毒を黄色ブドウ球菌によるものと判断したとのことだが、伊勢定によれば、社内ルールになっていた調理スタッフの手袋着用に関して、「(20名中)5名が、つけていなかったと認識しています」と話しているという。

食中毒を出した際の損害賠償額は?

昨年だと、青森県八戸市の駅弁製造会社が作った海鮮系駅弁が原因の集団食中毒にくわえ、「デザインフェスタ」の会場で販売されていたマフィンを食べた複数の客が、腹痛や嘔吐の症状を訴える騒動も発生するなど、後を絶たない食中毒の発生。

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ちなみに海鮮系駅弁による集団食中毒に関しては、弁当から食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出され、最終的に29の都道府県であわせて521人が体調不良を訴えるまで被害が拡大する事態に。いっぽうでマフィンの件は、保健所の成分分析で食中毒の原因となる細菌が検出されず、結局は行政処分が見送られることとなった。

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さらに今年に入っても、1月に上野恩賜公園で行われたイベント「牡蠣フェス2024」で、ノロウイルスによる下痢や嘔吐などを訴える者が続出する事態が発生するなど、季節を問わず発生の危険性がある集団食中毒なのだが、今回の件は時季的にもっとも注意すべき真夏に発生。しかも、因果関係はまだ不明ながら、死亡者まで出てしまうという最悪の事態となってしまった。

飲食店などが食中毒を発生させてしまった場合、まず最初のデメリットとなるのが、保健所による営業停止処分で、先述の八戸市の駅弁製造会社も、食中毒発生の9月下旬から処分解除の11月上旬まで営業ができない状況に。ちなみに「伊勢定 上大岡京急店」にも、すでに営業停止処分が下っている模様だ。

さらに、被害に遭った人々への医療費や通院交通費、さらに休業補償や見舞金などの損害賠償を支払う必要も。その金額は事案によって異なるものの、通例としては被害者1人あたり3~5万円程度になるケースが多いようだ。

とはいえ今回の場合に関しては、多くの方が快方に向かっているいっぽうで、残念ながら亡くなった方も存在するということで、伊勢定ならびに京急百貨店は数万円どころではない、相応の代償を求められることとなりそうである。

今年は2回ある土用の丑の日

そんななか今回発生した食中毒に関しては、人間の手にも存在する黄色ブドウ球菌が、手袋なしでの盛り付け作業によって付着し……というのが直接的な原因だとほぼ断定されているようだが、そのいっぽうで、特定の日に同じ食べ物を皆で一気に消費するといったイベントの存在が、こういった事態を招く遠因となっているのでは、といった指摘もSNS上からはあがっているところ。

確かに土用の丑の日のうなぎも然り、他にも節分の恵方巻や正月のおせちなど、確かにそういったイベントは数多いわけだが、その料理を作る側としては、普段とは比べ物にならない量のオーダーを受けて、特別体制による大量調理を行わざる得ず、そんななかでそういった“綻び”が発生してしまうのでは……というのだ。

実際、昨年末には高島屋がオンラインで販売したクリスマスケーキの一部が、ぐちゃぐちゃに崩れた状態で購入客に届き、大騒ぎになるといった出来事があったが、これもある意味でそんな綻びが生じた結果といえそう。

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ただケーキぐちゃぐちゃ程度で済むならまだしも、それが今回のような食中毒発生にも繋がる可能性も大いにあり得るのが、消費者にとっては脅威といったところなのだ。

ちなみに今年の土用の丑の日だが、先日の7月24日だけでなく、8月5日も含めた2度ある年。来る2回目に、同様の出来事がどこかで起きないよう祈るばかりである。

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