IT企業への投資でも決して揺るがない「バフェットの投資原則」
バフェットは「消費者独占型企業」にしか投資をしません。
消費者独占型企業とは、「有料ブリッジ型」の事業を持っていて、その会社の製品やサービスを使わざるを得ないような企業を指します。
例えとしてよく用いられるのが、村に川があって、たった1つしか橋(=有料ブリッジ)がない場合、村人はその橋を使わざるを得ない…という話です。橋の通行料を得られるようなビジネスは、長期的に安泰だというわけです。
その有料ブリッジ型の企業は、次の4タイプに分類されます。
<タイプ1>
長期使用や保存が難しく、強いブランド力を持ち、販売業者が扱わざるを得ないような製品を作る事業
<タイプ2>
他の事業が事業を続けていくために、持続的に使用せざるをえないコミュニケーション関連事業
<タイプ3>
企業や個人が日常的に使用し続けざるを得ないサービスを提供する事業
<タイプ4>
宝石・装飾品や家具などの分野で、事実上地域独占力を持っている小売り事業
IBMは<タイプ3>、アップルは<タイプ1>に当てはまります。
IBMは企業の基幹システムに携わっており、顧客は昔からIBMと共にシステムを構築しています。もし顧客がIBMから別の業者に変更する場合、自社のビジネス、業務知識、システム仕様をゼロから別の業者に説明することになってしまいます。
今までIBMと知識を共有した目に見えない資産が、全て埋没コストとなってしまうのです。顧客としては、IBMと付き合い続けるのが最も賢明な選択となるのです。
アップルは強いブランド力を持っています。ブランドコンサルティング会社ミルウォードブラウンが発表したブランドランキングでも、アップルが世界第2位にランクインしました(去年はアップルが1位でしたが、今年はグーグルに抜かれてしまいました)。
- グーグルのブランド価値:2290億ドル
- アップルのブランド価値:2280億ドル
今年こそ僅差で負けてしまいましたが、依然としてアップルのブランド価値は高いです。
そして、この<タイプ1>は「長期使用や保存が難しく」と説明されています。アップルの製品は、それほど長期に渡って使い続けることはできません。
まさか10年前のアップルのパソコンを持っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか?スマートフォンにしても、2年ぐらいで買い替える人が多いはずです。
アップルのiPhoneを使っている人がAndroidに乗り換えると、「使いにくい」と感じるようです。確かに私の身の周りでも、アップル派の人は浮気せずに、アップルが出す次の製品に乗り換え続けています。
IT企業であっても、バークシャーはしっかりと投資原則を守っています。「有料ブリッジ」を持つ企業でなければ、投資しないのです。