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なぜ年金は溶けたのか?「GPIF運用損5.3兆円」の危なすぎる内訳=斎藤満

成熟期の年金ではリスク回避が急務

もともと、日本のような成熟期の年金では、リスク資産を抑制し、流動性と換金性の確保が重視されますが、まして予想されるような不安定な市場がしばらく続くとすれば、リスク資産は極力圧縮する必要があります。

現在の運用枠は、内外株がそれぞれ25%、国内債券が35%、外国債券が15%で、それぞれに幅を持たせています。

しかし、株と債券、国内と海外とで明暗が分かれる場合は、資産の入れ替えで損益の調整はできますが、すべての市場が不安定で逃げ場がなくなれば、リスク資産間の入れ替えでなく、リスク資産そのものを極力ゼロに下げ、短期資産か現金にシフトして「嵐」が去るのを待つことも必要です。

その場合、運用のより一層の弾力化や委託業者の自由度を高める必要があります。

また、政府日銀が「ヘリマネ」しかないと考えれば、いずれ円安になり、悪性のインフレになるので、その場合は国内債券は極力圧縮し、外国債券、外国株と短期資産へのシフトが必要です。

いずれにせよ、現在のような運用枠のままでは、今後数年にわたって年金資産の運用は損失が出やすく、資産が減少すれば、日本の年金制度が持たなくなります

GPIFという巨大投資家がリスク資産を売却し、現金に逃避すれば、それ自体が株安、円高圧力となり、市場にも政権にもダメージとなりますが、それでも市場の嵐の下で年金資産を守り、国民生活を守るには、それしかありません。

そして嵐が去る直前の最安値時期をみて、そこでリスク資産運用に切り替える。それぐらいの思い切った対応をしないと、日本の年金は持ちません。

政府日銀は異常な政策の下に、市場が大きくゆがんでいること、その中でGPIFに対しリスク資産に傾斜した運用をさせた責任を重く受け止め、緊急避難指令を出す責任があります。

そのためにも、株安円高で資産が減少している現状を認識し、今後はマイナス金利の国債運用がいかに危険かも認識したうえで、年金資産をこれ以上減らす前に対応する行動力が必要です。


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年7月31日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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