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投資家の「ダメなところ」を炙り出すイエレン議長ジャクソンホール講演=近藤駿介

イエレンFRB議長が「利上げ時期を明確にする」ことはまずあり得ない

メディアでは、イエレンFRB議長が利上げ時期を明確にするかが焦点だとする見方が報じられている。しかし、中央銀行のトップが利上げ時期を明確にすることはまずありえない。

市場関係者からこうした期待が出てきているというところは、この10年間の「市場との対話」というもっともらしい流れの中で「フォワードガイダンス」という名のもとにカンニング体質が強まってきたことの現れである。

今回のポイントは、NY株式市場を筆頭に、世界的に株式市場のボラティリティが低下してきている中で、金融政策変更に関するコメントが出る可能性があるというところ。投資においては「ファンダメンタルズ分析」が最も重要であることは論を俟たないが、「ファンダメンタルズ」の最大の変化は金融政策である。

26日にイエレンFRB議長が「金融政策のツールキット」という題目で「最大のファンダメンタルズ」に関する講演をすることは誰でも知っていること。

イエレンFRB議長がどのような発言をするかは分からない。これまで公表されている経済指標等から推測するしかない。さらに、イエレンFRB議長の発言によって市場がどのように反応するかも分からない

こうした「データが不十分」な中で「判断を下せる」か否かが、「優秀なマネージャー」かそうでないかの分岐点だ。

「相場」は分からない。しかし、判断は下せるし、必要な投資行動はとれる

それは、運用におけるリスクマネジメントというのは、「相場をあてる」ことではなく、論理的に「相場の方向性」を推測しつつ、自らの判断が必ずしも正しくなかった時でも損失を被らないようにすることだからである。

そこに必要なのは観察能力運用技術。運用におけるリスクマネジメントにおいて「相場観」は技術ではない。

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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年8月26日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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