ジョージ・ソロス発案「再帰的な株価モデル」の8段階
ソロスは再帰性理論をベースに、正と負のフィードバックが起きることも考慮して、株価モデルを発案しました。それがこちらです(書籍『ソロスは警告する』P125~126より引用)。
<第1段階>
第一幕、つまり初期段階では、このトレンドはまだ理解されていない。<第2段階>
続いて訪れるのが、加速段階である。その時にトレンドは理解され、市販的なバイアスによって強化される。この時点で、すでに株価は均衡水準から懸け離れてしまっている。<第3段階>
その後、試練の段階がやって来て、株価は一時的に下落する。<第4段階>
確立期。もしもバイアスもトレンドもこの試練を克服すれば、どちらもかつてないほど強くなり、結果的に均衡から懸け離れているはずの株価が、しっかり確立してしまう。<第5段階>
だが、いずれは誇張された期待を、もはや現実が支えきれない正念場がやって来る。<第6段階>
次が「黄昏(たそがれ)の期間」で、ゲームに参加し続けている者たちも、自分たちのやっていることの危うさに気づいている。<第7段階>
とうとう転換点に到達し、トレンドは一気に下向きになり、バイアスも逆転する。<第8段階>
その後に発生するのが「暴落(クラッシュ)」として知られる、破局的な下向きの加速だ。
当初は、一株当たりの収益と株価の足並みは揃って上昇しています。しかしある時、突然、株価が一株当たりの収益の動きに対して、大幅に急騰します。その後、株価が大幅に下落して、一株当たりの収益を下回っています。
ソロスは、このモデルが左右非対称でないことに注目してほしいと言っています。
株価の天井は時間軸の中心よりも後ろにあり、株価が上昇する速度よりも下降する速度の方が速くなっています。少し相場の経験がある人なら、このモデルは正しいと直感的に感じるはずです。
第4段階で一気に加速して、株価が上昇していきますが、第6段階以降の下落の方がより大きく株価が変動しています。
ソロスは書籍『ソロスは警告する』の中で、再帰的な株価モデルが正しいことを証明するために、LTV社、オグデン社、テレダイン社のチャートを掲載していました。確かにこれらの株価チャートの形は、このモデルと同じ形になっています。