2. やりたい仕事しかやりたくない
今の若者は、中学高校の頃から個性や自分らしさを求められ、大学に入ってもキャリアデザインとか好きなことを仕事になどと聞かされて就職活動をしてきたため、自分のキャリアに貢献しそうな仕事、やりたい仕事以外はやりたがらない傾向があります。
彼らが言う「面白い仕事」というのは、どこか遊びやクラブ活動などで感じる面白さを期待しているようなところがあります。
しかし現実はそうではないから「こんなはずじゃなかった」「こんなことをするためにこの会社に入ったのではない」と落胆して辞めていく人は少なくない。
昔はそこをぐっと耐えて働いているうちに、いろんなことができるようになり、いろいろと任せてもらえるようになり、仕事が面白くなってきたことを経験として体感している。
また、様々な人間関係に揉まれ、自分が仕事の指示をするようになれば、会社や社会の矛盾や理不尽を理解し受け止められるようになり、ごちゃごちゃいわずにがんばることの大切さも実感している。
しかし、若手にはその体験がないから理解できない。耐えてがんばるという経験がないから、そういう発想もない。
大人が子供に言うところの「大人になればわかるようになるよ」というセリフが、「目の前の仕事に集中してがんばってみればわかるよ」ということに当てはまるようなものでしょうか。
<上司が丁寧に説得する必要がある>
しかし社会に出ると、上司は先生ではないし、会社は学校ではない。そういったことを理解せず、会社に入れば自動的に自己実現できてバラ色的な、過剰な夢を持って就職してくるわけですが、これは大学や世論など大人にも責任があり、上司が説得しなければなりません。
たとえば仕事でいう面白さとは、しんどいことを乗り越えていく達成感、成長していく充足感であり、数日や数週間でわかるようなものではありません。だから性急に面白さを求めていては、ジョブホッパーまっしぐらの危険性をはらんでいます。
偏った仕事だけをしていては、視野が狭くなって仕事の総合的な実力がつかず、将来、スキルニーズや環境変化によっては使い物にならなくなるリスクがある。
企業の内外で発生する多くの仕事を経験することが、バリューチェーンやワークフローを含めた業務全体を把握・理解することにも役立つ。
それに今の自分が想像できる範囲以外の能力は、やってみないと開花しない…。
そんなことを、押しつけがましくなく、説教くさくもないよう、仕事の実力をつけるとはどういうことなのかを教えてあげる必要があります。