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日本の教育に勝ち目なし。なぜアメリカは天才を量産して世界覇権を握り続けるのか?=午堂登紀雄

どんな子がギフテッドに当てはまるのか

ギフテッドには国家レベルで定義がなされており、米国連邦政府では、「知性、創造性、芸術性、リーダーシップ性、または特定の学問での偉業を成し遂げる能力がある個人。またはその能力を開花させるために特別なサポートを必要とする個人を指す」と定義しています。

ほかにも全米天才児協会では「例外的な論理的能力と学習能力の才能を持つ個人を指す。分野は大きく2つ、言語化・記号化された分野(数学、音楽、言語等)、感覚運動能力の分野(絵、ダンス、スポーツ等)がある」

さらにギフテッド教育心理学の研究者として有名な、モントリオール大学のフランソワ・ガニエ教授によると、「未訓練かつ自発的に表に出る自然な能力のことを指し、少なくともひとつの分野で同じ年齢の子どもたちと比べ、上位10%に入る能力を持つ子ども」などとされています。

具体的には、下記のような特性を持つ子供はギフテッドの可能性が高いと言います。

・記憶力に優れ、物事を学ぶのが早い
・抽象的で複雑な概念を理解するのが早い
・就学前から読み書きができる
・特定の感覚が鋭敏
・長時間集中していられる
・ユニークな想像力・空想力がある
・パズルなど問題を解くのが好き

しかし一方で、

・単純作業が苦手
・時間にルーズ
・人の話を聞かない
・強いこだわりがある
・興味があれば一心不乱に没頭するが、興味のないことは一切無視

といった傾向もあるようで、ギフテッドには発達障害児も含まれるというデータがあるのも納得できます。

そういうデコボコの傾向があるため、アメリカのギフテッド専門クラスでは、数学は3学年上のクラスに入り、国語は1学年下で学ぶなど、飛び級制度によって短所を埋めるより、長所をもっと伸ばし、尖った才能を発揮できる環境を作っています。

一方、日本を始めアジアの教育制度にはギフテッドの認定や飛び級といったものがないため、ギフテッドが発掘されない、顕在化しないわけです。

ギフテッド教育の中身とは?

では、ギフテッド教育はどのようなものでしょうか。ギフテッド専門校の多くはSTEAM教育に力を入れています。

米国では従来からSTEM教育(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティクスの頭文字による造語)に力を入れてきたのは前述のとおりですが、これは従来型の理系教育とは異なり、プログラミングやデータサイエンスなど、AIやロボットが社会を激変させる未来を生き抜くために必要なハイテク分野に重点を置いた教育のことです。

そして最近ではここに「Art」が加わりSTEAM教育と呼ばれるようになっています。Artとは芸術のことですが、たとえば日本でも「デザイン思考」をビジネスに取り入れることが注目を集めているように、イノベーションの原動力の1つとして捉えられているのです。

Next: 小学生から雲泥の差。ギフテッド専門クラスでは何を学ぶ?

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