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米中貿易戦争は一時休戦、次はトランプの大本命「ロシア」のエネルギー産業叩きへ向かう=高島康司

中国の拡大を警戒する提言書

当メルマガではそうした提言書を紹介してきたが、一連の報告書の流れを改めて見て見よう。

・「未来の鋳型(Future Foundry)」
トランプが大統領選に勝利した直後の2016年12月に国防省系のシンクタンク、「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」が出した報告書。アメリカの安全保障のためには、国防産業にAIなどの最先端の技術を導入し、兵器のシステムを高度化しないと覇権の維持は難しくなるとした警告書。

・「商用資源要約:2017(Mineral Commodity Summaroes 2017)」
「アメリカ地質調査所」が公表した重要資源の海外依存度を調査した報告書。2017年1月に公開。レアアースの80%以上が中国からの輸出に依存していることを明らかにし、警告した。

・「最重要の資源やエネルギー、環境の確実で安定的な供給戦略に関する大統領令(Presidential Executive Order on a Federal Strategy to Ensure Secure and Reliable Supplies of Critical Minerals Energy & Environment )」
これは「大統領令13817号」として知られている。2017年12月、先の「米地質調査所(USGS)」の調査を受けて、トランプ大統領はレアアースやレアメタルの供給の外国依存度を減らす戦略を立案するように、すべての政府機関に命じた。

・「合衆国の国防産業と製造業におけるサプライチェーンの弾力性調査とその強化に向けての報告書(Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States)」
トランプ大統領が2017年9月に出した「大統領令13806号」への回答の報告書。これはアメリカの国防産業の実態の調査を命じた大統領令だ。この報告書では、アメリカの製造業の衰退とともに国防産業の基盤も弱体化し、ハイテク兵器の部品生産の多くが中国のサプライチェーンに依存していることを明らかにした。中国依存の危険性を訴え、国防産業の早急な立て直しを主張

・「共同防衛に備えて(Providing for the Common Defense)」
米議会の「国防戦略委員会」が2018年11月にトランプ政権に提出した報告書。内容は上記のものと同じく、国防産業の弱体化の実態を警告し、ロシアと中国の軍事力の高度化と拡大に警鐘を鳴らした。

米国はかなり焦っている

もちろん、これらは代表的な大統領令と報告書だが、これ以外にも重要なものはたくさん公開されている。

そうした調査を読むと、トランプ政権の中国の拡大に対する警戒心があらわになっており、アメリカ主導の国際秩序をこれからも継続して維持するためには、なんとしてでも中国の躍進を阻止しなければならないという焦りが強く滲み出ている。

したがってこうした一連の報告書を読むと、トランプ政権が中国の発展を抑止するための強行策に出てくることは、2017年には読み取ることができた。シンクタンクやホワイトハウス、また米議会が出す報告書は、トランプ政権の向かう方向を見るためには、非常に重要である。

Next: 2019年発表の提言書はどうなっている?見えてくる今後の動き

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