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米中貿易戦争は一時休戦、次はトランプの大本命「ロシア」のエネルギー産業叩きへ向かう=高島康司

最近の報告書

では、2019年になってから発表された最近の報告書はどうなのだろうか?

実は、安全保障上の大きな脅威として名指しされる国が、中国からロシアに移動しているのが分かる。もちろん、ロシアによるクリミア併合が行われた2014年以降、米政府に近いシンクタンクが出す報告書ではロシア脅威論と抑止論が基本的な基調であった。それには一貫して変化がない。ただ、トランプ政権の発足後、アメリカの安全保障上の脅威として全面に出てきたのが中国であり、ロシアの脅威論は比較的に背景に退いていた。

それが2019年になると、この基調に変化が見られる。中国以上に抑止し、徹底して排除する対象としてロシアが急速に浮上しつつあるのだ。

米シンクタンク「ランド研究所」の最新報告

そうした報告書は多いが、今回はその代表的なものを紹介する。それは、「ランド研究所」が最近出した報告書である。

ちなみに「ランド研究所」とは、1946年にアメリカ陸軍航空軍が、第二次世界大戦後の軍の戦略立案と研究を目的として設立した組織である。設立当初は航空機産業の大手、ダグラス社がパトロンであったが、その後、ダグラス社から分離し、独立の組織になった。そして、軍事関連の戦略研究から民生分野の公共政策・経済予測や分析、様々なコンサルティングへと分野を拡げた。

しかしいまも国防総省が最大のクライアントであり、研究の半数以上が安全保障関連である。軍事戦略の研究機関としての性格が極めて強いシンクタンクだ。

その報告書は国防総省やホワイトハウスの外交政策に強い影響力を持つと見て間違いないだろう。何人もの研究員がホワイトハウス、国務省、国防総省の高官となっており、冷戦期と冷戦後のアメリカの軍事戦略を立案したもっとも影響力のあるシンクタンクとも言われている。

そうした「ランド研究所」だが、4月24日に「ロシアを拡張させ、不安定化させる(Overextending and Unbalancing Russia)」という報告書を発表した。主筆は国務省の欧州担当副長官であったジェームス・ドビンズだ。

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