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G20終了で市場は「米中雪解け」の評価。中長期の視点では米市場のバブル相場に警戒=山崎和邦

「閑散に売りなし」の一方でPERが100倍を超える銘柄が激増

閑散に売りなし」という。「(幹事長の)菅(かん)さんに売りなし」などというつまらない戯言が流行っている。文字通り6月7日以降は、ほとんどの日が東証一部の売買代金が2兆円を割った。これは約4年半ぶりの低水準である。その後も2兆円が2日あったのみで2兆円割れが続いた。

一方PERが100倍を超える銘柄が激増している。上場企業の5%に匹敵する銘柄がPER100倍を超える。日経平均のPERは12倍だから特殊な172銘柄(PER100倍以上のもの)に資金が向かっていることになる。「ものづくりに強い日本」であったはずだが、サービス業が今年に入って日経平均の株価上昇を大幅に上回って上昇した。

チャートに見る「日経平均200ドルの壁」

日経平均をドルで測って200ドルになったところが上値抵抗線となってきた。2018年の10月と12月、今年の4月及び今年の5月末である。昨年秋以降4回にわたって「ドル換算で200ドルの日経平均」は上値抵抗線として跳ね返されてきた

これは東京市場の半数以上を占める海外投資家が日経平均をドル換算で見ているからである。また、海外投資家の日本株に対する関心の低さの現れでもある。

「ND倍率」の落ち込みは、日本株が出遅れているということになる

日経平均株価とNYダウとの比率は「ND倍率」と言われているが、これが0.8倍に落ち込み、この状態はアベノミクス相場の初期の状態であり、約6年半ぶりのことだ。

それだけ、日本株が出遅れているということになる。このND倍率は6月に入ってから急速に落ち込んだ。

中長期の見方:景気下降を予防するための好景気中の予防的利下げ反復は危ない

これは本来、小型バブルか大型バブルを生む原因になることが多かった。米景気がなお堅調な中での予防的利下げは、株式相場を過熱させてバブルの発端になったのは1990年代後半の米国であった。これがITバブルにつながった。

また、80年代後半の日本であった(澄田日銀総裁の時代)。これが平成大バブルの源の一つとなった。

米国株は過去最高圏内にあり、SP500種株価は20日に史上最高値を付けた。こういう時に予防的利下げをすると、過度なバブルを引き起こす原因となりやすい。景気後退に陥っていないのにFRBが利下げをして、1995年7月、1998年9月の2回でITバブルをつくる結果となった。

日本では80年代後半の連続利下げであった。両者ともに株価上昇を加速させ前者はITバブルをつくり、後者は(国土庁発表の土地バブルを煽るかのようなレポートも大いに影響したが)事前の予防的利下げは平成大バブルの原因になった。

日本株は投資家に警戒心が強く米国株が上がっても薄商いの膠着状態が続いている。しかしNYが下がれば、陶酔的過熱相場がなくても一人前に下がる。ここが用心のしどころだ。ITバブルの下げもその後のリーマンショックの下げもBREXITの下げも、日経平均が一番派手に効いた。

Next: 米株市場のバブル相場を警戒するべき理由とは?

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