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日銀は次の一手を打てるのか?1日に発表した声明文にみる、今後の対応手段とは?=久保田博幸

予防的・先制的に制作対応することが重要

それはさておき、下記の意見もあった。

「現時点において、物価の下振れリスクに対して予防的・先制的に政策対応することが重要である。長短金利操作とフォワードガイダンスの両面から金融緩和を一段と強化することが必要である」

これも可能性があるのかもしれないが、両者(長短金利操作とフォワードガイダンス)ともに伸ばせば良いというものでもない。

「躊躇なく、必要な政策を適切に実施する、という情報発信を行っていくことが肝要である」

いわゆるアナウンスメント効果を意識したものであろうが、これを繰り返し使うと「躊躇なく」の意味合いが薄れてしまう。

「いわゆる予防的金融緩和論を検討する必要があるのではないか。消費税率引き上げの影響や市場の急変などに対して、日本銀行の政策が後手に回らないよう十分な警戒が必要である」

予防ができるほどの緩和の余裕がないようにも見受けられるが、FRBが予防的措置を行った翌日に大統領がリスクをまき散らすという、なんともいえない状況下、予防ではなく現実にリスクが高まったときのために、カードは温存しておいたほうが良いと思う。

カードがそれほどなくてもあるように見せる工夫も大事かと思う。

「これまでよりも明確に内外に伝え、緩和策についても予め検討しておくべきである」

確か金融政策決定会合はそういったものも話し合う場ではないのだろうか。

「量・質・金利を始め様々な緩和策などについて、それぞれの利害得失を検討する必要がある」

必要があるのであれば検討してほしいし、政策委員からも意見の投げかけも必要なのではなかろうか。

政策対応を考えるにあたっては、効果と副作用の点検が必要である。その際、副作用によって効果が損なわれてしまう可能性も念頭において、慎重な点検や設計を行うことが重要である」

リバーサルレート論と呼ばれているものであるが、副作用を意識したうえで、よりアナウンスメント効果があり、小出しでも市場心理に働きかける手段をぜひ見つけて欲しいと思われる。それが物価に影響を与えるかどうかはさておき。


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image by : TK Kurikawa / Shutterstock.com

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牛さん熊さんの本日の債券』2019年8月7日号より
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